アップルは11年間で約1160億円寄付、結実する従業員のボランティア活動

学校や社会にうまく馴染めない若者らを支援する「Today at Apple Creative Studios」も同社の支援プログラムの1つ

Apple(アップル)は「Employee Givingプログラム」という取り組みを行っている。この取り組みは、同社従業員がボランティア活動した時間(もしくは寄付した金額)と同等の資金をアップルも同じ団体に寄付するというプログラムだ。

2011年に始まったこの取り組みにより、11年間で約4万4000の団体に8億8000万ドル(約1160億円)以上の資金を提供してきた。これは7万6000人以上の従業員が210万時間以上もボランティア活動に従事してきた結果だ。またアップルはこれに加えて非営利団体に数百万ドル(数億円)の寄付も行っている。

2月に始まってしまったウクライナ侵攻後には、現地の人道的活動を支援する団体に、従業員からの寄付金に2対1の割合で上乗せするプログラムをスタート。現地のシェフが設立した非営利団体で、危機に瀕した人々に食事を提供するWorld Central Kitchen(WCK)を行うなど団体に直接寄付もしている。侵略の翌日以降、WCKは該当地域8カ国で1億7700万食以上を提供してきた。



ノブレス・オブリージュではないが、グローバル起業が多額の寄付を行うのは当然だと思われるかもしれないが、重要なポイントは、従業員が積極的にボランティア活動を行っている点だ。

例えば、気候変動と環境格差の影響を最も強く受ける地域社会を擁護する活動の一環として、アップルは2022年にも複数の環境団体に補助金を提供しているが、アースデイには、1300人以上の同社従業員が、世界中で行われた数十の清掃活動や環境に焦点を当てたイベントに参加している。

「Today at Apple Creative Studios」もこうした活動の1つだ。世界各国のApple Storeで行われている支援プログラムであるこの活動は、今年5月24日に取り組みの拡大が発表されている。

「Today at Apple」は、誰もが無料で受けられるワークショップで、通常はアップル直営店やオンラインで開催されている。iPhoneでの写真撮影のコツや動画の編集、iPadでのイラストの描き方などのワークショップを無償で提供するものだが、これを拡大し定期的な「学びのプログラム」として発展させたのが「Today at Apple Creative Studios」だ。2021年はロサンゼルス、北京、バンコク、ロンドン、シカゴ、ワシントンD.C.で開催されており、2022年は新たにナッシュビル、マイアミ、ベルリン、ミラノ、台北、シドニーそして東京の7都市でも開催されている。
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編集=安井克至

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