プライバシー保護団体が危険視
ハッカーであろうと警察であろうと、彼らが興味を持つ車について入手できる公開情報は豊富にある。セキュリティ研究者のカリーは、車体番号だけで何ができるかを確認した後に、それらの番号が公開されていることが「恐ろしい」とフォーブスの取材に語った。
押収した車両から最も有用なデータを得るために、税関国境警備局(CBP)と移民税関捜査局(ICE)は今年、業界ナンバーワンの企業であるメリーランド州のベルラ社(Berla)が製造するテクノロジーに記録的な金額を費やした。ベルラ社のiVeと呼ばれるプロダクトは、法執行機関や軍が車両からデータを抽出するためのツールだ。
政府の契約記録によると、8月にCBPはiVeに38万ドル以上を支払った。さらに、2010年からベルラと取引があるICEも、9月にiVeに50万ドルを費やした。また、2022年5月の契約で、CBPはベルラに「車両インフォテインメントのフォレンジック抽出ツール、ライセンス、トレーニング」を依頼していた。
一方、警察が車両のデータの捜査への活用を進める中で、プライバシーの擁護派は危機感を高めている。NPO法人の「サベイランス・テクノロジー・オーバーサイト・プロジェクト(S.T.O.P.)」は10月の報告書で、「自動車は携帯電話よりもはるかに詳細なデータを収集しているが、それらのデータを守る法的・技術的な保護は少ない」と警告した。
S.T.O.P.の調査ディレクターのエレニ・マニスは、CBPとICEが「車のデータを兵器化している」とフォーブスに語った。
「ベルラ社のデバイスを用いて、CBPとICEは、車の位置データ履歴や訪問した場所、搭乗者の家族の連絡先、通話記録、SNSのアカウントに至るまでの詳細な個人情報を入手し、徹底的に調査することが可能だ。当局が何台の車をハッキングしたかは分からないが、ほぼ全ての新車に脆弱性があることは明らかだ」と彼女は述べた。
(forbes.com 原文)