匂いや味がわからないという症状は、新型コロナの流行初期にその重要な症状のひとつとして特定された。嗅覚異常は感染者の43〜62%が訴え、感染後早期に表れる傾向にあると報告されている。うち約20%は嗅覚障害以外の症状はみられなかった可能性があるという。
米コロンビア大学アービング医療センターの研究者らのグループは、嗅覚や味覚が変化した人の抗体獲得についてより詳しく調べるため、2020年に始まった回復期血しょう検査に参加した新型コロナ患者309人を調査した。うち約64%が嗅覚の消失か味覚の消失、あるいはその両方の症状を訴えていた。
研究グループは「新型コロナウイルスに対する自然免疫反応を理解することは、病態生理の解明や疫学的パターンの認識、介入の指針に役立つ」と述べている。抗体は少なくとも6カ月間は再感染をある程度防ぐことが知られているが、完全な免疫を保証するものではない。
ただ、今回の研究には症状が自己申告のものだったという大きな制約がある。また、ロックダウンが繰り返され、検査を受けにくい時期に収集されたデータであるため、症状が過少報告されていた可能性もある。グループは、対象となった患者の血清陽性の持続性についてさらに調べる必要があるとしている。
今年発表された別の研究によると、嗅覚や味覚を失った人の90%以上は2年以内にそれを取り戻していることがわかっている。また、嗅覚や味覚の消失が6カ月続いたと報告した人は5%にとどまるという。
一方、こうした症状は男性よりも女性のほうが出やすいようだ。原因についてはさまざま説があるが、まだ解明されていないことが多い。
(forbes.com 原文)