連星の新星爆発をマルチスペクトルマップで分析する天文学者チーム

連星系、へびつかい座RS星の爆発の電波強度図とVLT干渉計測定値(ESO)


白色矮星表面に蓄積されたガスはどうやって核融合を生み出すのか?


赤色巨星から出た物質は、この地球サイズの白色矮星に降着する。そしておよそ20年おきに、物質は核反応を開始するために十分な厚さ、十分な重さ、十分な密度、十分な高温を得る。それは地球の表面全体を水素爆弾で覆い、すべて同時に爆発させるようなものだとオブライエンは述べた。

私たちの太陽は、重力と熱核融合がほぼ完璧にバランスしている。しかし、そんな激変する星の隣にいるところを想像して欲しい。多くの回帰新星は10~100年の時間軸で爆発するが、構成要素である白色矮星は非常に高密度であり、巨大な熱核反応表面爆発をもってしても破壊することができない。

しかし死んでいく赤色巨星と恒星残骸の白色矮星という奇妙な組み合わせは、最終的にIa型超新星となって一生を終える。


ジョドレルバンク天文台のラヴェル電波望遠鏡(Loop Images/Universal Images Group via Getty Images)

アンドロメダ銀河には非常に興味深い回帰新星があり、毎年秋頃に爆発するとオブライエンは語る。毎年爆発することから、おそらくチャンドラセカール限界に近いだろうと彼はいう。それは安定した白色矮星の最大質量のことだ。この1.4太陽質量という制限を超えると、白色矮星のコアで炭素核融合が引き起こされ、稀なIa型超新星が生まれる。

オブライエンがこれらの回帰新星に関心を持ったのは、1000年前、古代の天体観測者たちが歴史的に「同じ星系を観測していた」というアイデアに触発されたことが理由の1つだ。しかし、いまは現代技術を使って、これらの物体が実際何であるかを学ぶことができると彼はいう。

爆発への準備段階で光がどう変化するかを見ることで、新星の爆発をより詳細に解明し、いつ爆発するかを予測することも可能になるかもしれないとオブライエンは述べた。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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