令和に美化されるギャルカルチャー 平成リバイバル現象のワケ

督 あかり

──この3年くらいの「平成カルチャー」の中でも90年代から00年代初期に流行が移ってきたそうですね。具体的にどういうものが流行ってきているんでしょうか。

海外の90年代のアイテムが進化して、2000年代風に入ってきて、混ざってきているというか。インナートップスとかサテンシャツともそうですけど。みんなが思っているより本当にごちゃ混ぜなんですよ。最近は、ヒップホップなギャルも増えてきたなと思います。前は「B系」というカテゴリだったものがギャルに入ってきているように感じます。

当時はなかったですが、最近では「ギャルマインド」みたいな言葉も語られるようになってきましたし。でも、当時はギャルマインドと謳っていないんですよ。90年代から00年代初期はどちらかというと「不良」寄りというか、煙たい存在として扱っていませんでしたか?それが00年代以降からは徐々に変化していった。ファッション的なところもですが、ギャルの「明るさ」や「ポジティブさ」にフォーカスされていったように感じます。

平成ギャルの象徴 厚底ブーツ
平成ギャルの象徴 厚底ブーツ(Getty Images)

ギャルブームで閉塞感を打破?美化の連鎖


──確かに......。令和ではネタ化されつつ、広まっていったように思います。改めてギャルにここまでフォーカスが当たるのにはどういう理由があると思いますか。

つまり、現在のギャルカルチャーは2010年代以降の閉鎖感を打破するような感じで美化されつつ広まっている。特にかつてリアルタイムでギャルカルチャーを社会現象的にみてきた30代中盤以降の大人たちが盛り上がっているところをみると、当時の記憶が美化されて、またこの連鎖が繰り返されているのかなと思います。

『東京卍リベンジャーズ』(2005~2008年頃にタイムリープする漫画)の流行など、ヤンキーに対しても同じだと思いますよ。当時カツアゲを経験した人とか、絶対ヤンキーを認めないと思うんですよ。私自身、池袋が地元なのでカラーギャングから世の中を見てましたけど、まぁひどかったです。令和で美化されているのはありますよね。コンテンツとしてはいまだからこそ一番楽しめるかもしれません。

SNSトレンド番付 令和ギャル
2022年の「SNSトレンド番付」では西の横綱に「令和ギャル」が選出

──ギャル文化の今後の展開はどのようにみていますか。

それを言える立場じゃないし、大人がそういう希望や展開予測を出しちゃいけないと思うんですよね。普通に楽しんでいたらいいと思います。強いて言うなれば、もう大人が分析できないくらい、突き進んでほしい。大人とか社会学者からみて「なに考えてるか本当にわかんない。お手上げ」みたいなところまで、突き進んだら面白いことにはなるんじゃないのかなと思います。

──今後はどのような平成文化が再評価されると思いますか。

私は今後2010年代の平成後期のカルチャーの棚卸しをする時期がやってくると思っています。平成後期のカルチャーはあまり振り返られていないので。まだ振り返ってないことが一番面白いですよね。ただ誤解をしてほしくないのが、私の考え方自体が正しい訳でもないですし。他の見方とか過ごした時代とか世代によって変わってくる。だからこそ深みがありますよね。

ビリー・アイリッシュもギャル風ファッション
2022年12月、ビリー・アイリッシュもルーズソックス、アームウォーマーのギャルアイテムを身につけライブをした(Getty Images)

SNSを通じて欧米や韓国など世界中のアイドルやアーティスト、インフルエンサーたちの情報をいつでも見られて、世界のトレンドが垣根なく流入し、自分の「好きなもの」を取り入れるようになった。そんな時代に変化したからこそ、さまざまなカルチャーが同時多発的に発生し、混じり合い、新しいカルチャーを生み出している。ギャルもいちコンテンツとして多様な世代に消費され、これからも拡張していくのだろう。

文=冨手公嘉 編集=督あかり

ForbesBrandVoice

人気記事