令和に美化されるギャルカルチャー 平成リバイバル現象のワケ

令和になり、平成ギャルカルチャーが再燃しているのはなぜか (Getty Images)


SNSと相性がいい、ギャルカルチャー


──なるほど。SNSを通じて、世界のファッション情報もいつでもチェックできるようになった流れも関係しているでしょうか。

そうですね。「ギャルカルチャー」とSNSは相性がいい。なぜならギャルアイテムを着用すると目立つし、「いいね」を得られやすいのもあると思います。これは「平成カルチャー」でも同じことが言えるのですが、SNS上でのバズや反響に対して、メディアで言われるほど実際に流行しているかは定かではないといえます。


──冨永愛さんがミュウミュウのコレクションに合わせてルーズソックスを履いてギャルファッションをして雑誌に載るなど、ギャルの捉えられ方が変化しているようにも思います。

それは作品というかファッション表現としての印象ですね。実際は109などのお店って今は「ギャルファッション」よりも「地雷系ファッション」がマス。ただ、SNSって属性によって見える世界が違うから、Instagramだけを追っていると、平成カルチャーや平成ギャルの画像が多く出てきて世の中全体で流行っているように感じられると思います。でもTwitterだけを追っている人にとっては、「え?」という感じなのかもしれません。メディアによっても世代によっても温度差があると思います。

──確かにフィルターバブルはあるのかもしれません。

同時に漠然と世界の潮流と国内での流行を一緒くたに「ギャルカルチャー」とカテゴライズされた時にモヤモヤする理由は、国内でこれまで認識されてきた「ギャルカルチャー」とY2Kや世界のファッションの潮流のベクトルの違いを理解してないから、と感じます。

Y2K、韓流アイドルとは別物


──「ギャルファッション」に対する解像度の違いという意味でしょうか。

例えばわかりやすく言えば、藤井みほな先生の『GALS!』という「りぼん」で掲載されていた漫画(*現在は続編が『GALS!!』として復刊)があったのですが、そういうふうに日本で培ってきたギャル文化と海外のトレンドとしてのギャルってやっぱり違う。つまり日本の「ギャル」だけで見ると、もともとは「ギャルカルチャー」って、ちょっとサブカルチャー寄りのものなんです。


──Tajimaxさんの視点からすると、Y2Kと韓流アイドル・ミュージシャンがもたらしたギャルカルチャーと平成ギャルカルチャーは別物という認識なのでしょうか。

はい。でもその視点の階層のずれがあるからこそ、文化として掘り下げていく価値があるというか、圧倒的に面白いんですよね。そういう文化が結局、平成の30年ほどで培われた特有なものだと思っています。

そういう中で、一番ピュアで熱いなって思うのは海外のギャル軍団ですね。国内のどんな子達よりも熱いなと思って見ていますね。Instagramなどで私も英語で話しかけられるんですが、彼女たちは相当、日本のギャルオタクなんですよ。実際に90年代や00年代初期のストリート雑誌の読者モデルまでチェックしていて。私に「あの子は誰?」みたいな連絡がくることもあるんです。海外のファンの子達がみんなで集まってパラパラを踊っているのを見ると、違った形で再評価されているんだなとわかりますね。
次ページ > 「明るさ」「ポジティブさ」にフォーカス

文=冨手公嘉 編集=督あかり

ForbesBrandVoice

人気記事