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2022.12.23 09:30

人材競争力5年連続世界1位のスイスが環境問題でも先頭に

チューリッヒのツーク市はスイスのイノベーションの中心地のひとつ/photo by Shutterstock.com


4)安定性

1848年以来の連邦制による安定した政治体制、永世中立主義と国際社会への多大な貢献。
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5)競争力

低い公的債務(GDP比 約35%、OECD平均の1/2以下) 、強い国内産業(ライフサイエンス、精密機器、金融サービスなど) 、低いインフレおよび失業率。

6)企業活動に有利な税制

法人税制は連邦、州、市町村の3階建て構造で成り立ており、連邦税は8.5%で固定だが、州、市町村レベルでの税制優遇が可能であり、企業誘致に活用されている。また、スイスを含む欧州特許、スイス特許などの取得済特許を対象に税制優遇策(Patent Box)をとり、イノベーション企業を呼び込んでいる。 自社負担、及び国内外の第三者への委託研究開発費を対象に、地方レベルの最大90%まで控除することにより、実効税率10%程度が可能に。また、州によっては、特許とは関係なく研究開発費の50%を上限に軽減税率を適用する場合もある。

スイスにはESG経営の大切さについて考えるのに適した環境がある


環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を重視したESG経営の重要性が世界的に叫ばれている一方で、自社がどのように社会に貢献できるのかを長期目線で考え、成果を出していくことには難しさもある。闇雲に自社の成長だけを考えて進めば良いというわけではないため、従来の方法を変える必要に迫られている企業もあるだろう。
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ただひとつのわかりやすい解決方法があれば良いのだが、そうでない場合どうしたら良いのだろうか。そのヒントが10月26日に在日スイス大使館 スイス・ビジネス・ハブ 投資促進部主催で開催された「事業投資セミナー スイスを活用したESG経営」の高津氏の講演にあった。

高津氏は、スイスにこそESGに関する新たな答えを探すのに適した環境があるという。

元々国際機関の集積地として有名なスイスだが、近年それらに並ぶサステナビリティに関する新たなイニシアチブも立ち上がっているという。例えば、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)もその1つで、ジュネーブを本部とし、世界約70カ国に地域拠点を置き、先進企業約200社が加盟。政府やNGO、国際期間とも連携し、持続可能な未来の実現を目指して、経済、環境、社会に 関する調査・提言活動を行っているという。

IMDもWBCSDが開発した主要な持続可能性管理ツールやフレームワークをプログラムの中核に組み込んだ世界で最も持続可能性を重視したMBAを作り、次世代リーダーの育成に取り組んでいる。
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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