高レビューが並んだ室内履きを1足見つけた。聞いたことのないブランドだが、プレゼントの買い物をひとつでも片づけたいと思っていたので、その室内履きをカートに入れ、注文を完了。ところが、手元に届いたのは粗悪品で、すぐに縫い目がほころびてしまう。
そんなふうにして、偽レビューに騙されてしまう可能性は、かなり高い。偽のレビューとは、誰かが、無料の商品やギフトカード、現金と引き換えに、タチの悪いブランドの商品がよく見えるように偽って書いたものだ。そういった偽レビューは、ホリデーシーズンになると急増する、と話すのは、フェイクスポット(Fakespot)のサウード・カリファ(Saoud Khalifah) 最高経営責任者(CEO)だ。
特に、贈り物として人気の高い、室内履きや時計、セーターなどのページでその現象が目立つという。フェイクスポットは、アマゾンやウォルマート、家電量販店ベスト・バイなどのサイトに投稿された、詐欺まがいで信頼できないレビューを、人工知能(AI)を使って割り出している。
「偽レビューは、ホリデーシーズンが始まる直前に続々と投稿される」とカリファは話す。こうした動きは、夏の終わりごろに始まり、次第に勢いを増していくという。「9月や10月になると、その数はどっと増える」
フェイクスポットによれば、11月末のブラックフライデー後に、アマゾンで最も偽レビューの割合が大きかった商品カテゴリーは室内履きだ。信頼できないレビューは71%にも達する。
ホリデーシーズン中に偽レビューであふれる商品は他にも、セーター、スマートウォッチ用バンド、クリスマスツリー、時計、腰用マッサージ器、イヤフォンなどがある。フェイクスポットによれば、レビューの3分の1以上は信頼できないものだという。
ホリデーシーズンに先駆けて投稿される偽レビューの数は、バレンタインデーや母の日、父の日といった、贈り物の購入が増える他のイベントとは比べものにならないくらい多いと、カリファは言う。
ブランド側には、お金を払ってでも好意的なレビューを書いてもらいたいという強い動機がある。なかでも目立つのが、よくある商品で販売競争に加わろうとする、知名度ゼロの中国の販売業者だ。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアシスタント・プロフェッサー (マーケティング学)を務めるブレット・ホレンベック(Brett Hollenbeck) ら研究チームが実施した調査によると、偽レビューによって、商品の売上は平均で16%増えるという。
「偽レビューのせいで、そうでなければ買わないような商品を買うことになる。低品質の商品が、高品質の商品を装って売られているからだ」とホレンベックは話す。
その結果、購入者は後悔する羽目になる。商品について不満を述べるレビューが最も増えるのは、感謝祭とクリスマスのあとだ。それらの商品は、11月と12月に購入されたものだとホレンベックは言う。