経済・社会

2022.12.20 08:00

FTX創業者はバハマの「最悪の刑務所」で隔離中、米国に移送へ

サム・バンクマンフリード(Getty Images)

サム・バンクマンフリード(Getty Images)

経営破綻した暗号通貨取引所FTXの創業者のサム・バンクマンフリードは、バハマからの身柄引き渡しを求める米国当局の要請を拒否する姿勢を改め、複数の刑事責任を問われる米国の連邦裁判所での審理に臨むことになりそうだ。

ロイターによると、バンクマンフリードはバハマの裁判所に出廷し、米国への引き渡しに異議を唱える権利を放棄する見通しという。

ワシントン・ポストによると、先週保釈が却下された後、バンクマンフリードはバハマの悪名高い刑務所のフォックス・ヒルに移され、病室に収容されて医療評価を受けているという。同紙によると、彼は有名であるが故に、他の受刑者から脅迫されたり危害を加えられる恐れがあり、通常より長く病室に収容されている。

バンクマンフリードが当初拒否していた米国への移送を受け入れた理由は不明だが、2021年の米国務省の報告書によると、フォックスヒル刑務所は「劣悪で恐ろしい環境」にあるとされ、囚人らは過密状態に置かれ、医療ケアが欠如し、トイレは無く排泄物の処理にはバケツを使わされるという。さらに、おびただしい数のネズミやウジ虫など害虫が蔓延しているという。

米国に引き渡された場合、バンクマンフリードはニューヨーク南部地区連邦裁判所で裁判を受けることになる。検察は、彼に逃亡の恐れがあるとしており、保釈を認めない可能性が高いという。

バンクマンフリードは12日にバハマの高級コンドミニアムで逮捕され、検察はその後、30歳の元ビリオネアに対する電信送金詐欺やマネーロンダリングなどの容疑を明らかにした。さらに、米証券取引委員会(SEC)は、彼がFTXの投資家と顧客を欺く計画に従事し、個人資産を増強するために数十億ドルを流用していたと主張する民事訴訟を起こした。

一方、ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、連邦検察はバンクマンフリードから受け取った政治献金について、民主・共和両党の議員に説明を求めているが、献金を受けた両党の議員たちは、このスキャンダルから距離を置こうとしている。検察は、バンクマンフリードとFTXの幹部が、政治献金に関する規則に違反した疑いで献金記録の開示を求めている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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