マラドーナに並んだメッシ
ジーコも同様のことをぼくに漏らしている。1986年大会は、ワールドカップで唯一、1人の男の力で勝った大会であったと。
その男とは、ディエゴ・アルマンド・マラドーナだ。
ディエゴ・アルマンド・マラドーナ(Photo by David Cannon/Allsport/Getty Images/Hulton Archive)
小柄な身体に、はちきらせんばかりの力を漲らせていた、あの大会のマラドーナと、下り坂に入った今回のリオネル・メッシとは少々事情が違う。ただ、今回のアルゼンチン代表が、1人の男の才能をいかんなく生かすために、他の選手をどのように組み合わせるかを考え抜いたチームであったことは、1986年と同様だ。
13歳で母国を出てスペインのバルセロナで頭角を現したメッシに対して、長い間、アルゼンチン国内からの風当たりは強かった。出場5回目にして、ようやくメッシは彼に相応しいワールドカップ優勝という勲章を手に入れ、敬愛するマラドーナに並んだのだ。
翻って、日本代表に4年後のワールドカップ北米大会で、メッシ、あるいはモドリッチのような選手は現れるのか。フランス代表やブラジル代表には人材の分厚さで敵わないとしても、そうした選手を中心にチームをつくれば互角に戦うことができるはずだ。日本サッカーにとって次の4年間の課題はそこだ。