アップル ティム・クックCEO来日、滞在5日間で何を見たのか

井上リボン工業にて、Apple Watch Ultraのアルパインループが作られる工程を見学したティム・クック氏。井上精二氏の説明に何度も驚きの声をあげていた

Apple(アップル)はiPhoneなどハードウェアと軸とするサービスを世界に広く展開し、社会的な価値創造にも大きな影響力を持つ企業だ。2022年12月の半ばに同社CEOのティム・クック氏が約3年ぶりの訪日を果たした。ビジネスのパートナーであるデベロッパとサプライヤー、そして日本の新しい時代を担う若い学生たちはクック氏とどんな言葉を交わし、何を思ったのだろうか。筆者が取材した4つの現場での出来事を伝えたい。

未来をつくる若い学生デベロッパとの交流


12月12日の夕方、クック氏のTwitter(ツイッター)には熊本市長の大西一史氏と並んで写るポートレートが公開された。



同じ頃、熊本県立大学総合管理学部の飯村研究室には、クックCEOとともに来日したアップルのワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるグレッグ・ジョズウィアック氏の姿があった。

ジョズウィアック氏の目的は、飯村伊智郎博士の研究室に在籍する大学4年生の「若きデベロッパ」である中村優太氏と黒木貴蘭氏の活躍を労うことだった。

アップルは毎年の世界開発者会議(WWDC)に合わせて、世界の学生デベロッパたちがコーディングスキルを競い合うコンテスト「Swift Student Challenge(SSC)」を開催している。2022年には中村氏が制作した、クイズゲームを楽しみながら日本の伝統色を知るアプリ「WA-color」が入賞した。ジョズウィアック氏はアプリを体験し、中村氏、黒木氏ら学生たちと過ごした賑やかな時間の様子をツイッターにアップしている。



この日、中村氏からジョズウィアック氏に「仲間たちと一緒にアプリの開発を進める中で何度か意見が分かれた。このような場面をアップルの方々はどう乗り越えてきたのか」という質問が投げかけられた。

ジョズウィアック氏は「チーム全員が良いものを作りたいという意志のもと、建設的な議論を積極的に交わせば必ず良い結果に導かれる。私たちはそう信じている」と答え、可能性に満ちた若きデベロッパたちに「アップル流」のイノベーションをたぐり寄せるためのヒントを共有した。
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編集=安井克至

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