ツァイは、ニューヨーク証券取引所に上場するアリババの株式300万株の売却をモルガン・スタンレーに依頼したとブルームバーグが最初に報道し、フォーブスは、インサイダー取引データを提供するWashington Serviceの報告書でそれを確認した。
16日の正午時点のアリババの株価87.55ドルをベースとすると、ツァイはこの売却で税引き前で約2億6300万ドル(約360億円)の現金を手にすることになる。フォーブスは、今回の売却前のツァイのアリババ株の持ち分が約21億ドル相当で、彼の保有資産の約4分の1を占めると推定していた。
モルガン・スタンレーはこの件に関するコメントを拒否し、アリババとツァイの資産運用会社のブルー・プール・キャピタルからのコメントはまだ得られてない。
フォーブスは、米国でNBAのブルックリン・ネッツのオーナーとして知られる台湾出身のツァイの保有資産を、最新の試算で83億ドルと推定している。彼が保有するブルックリン・ネッツの現在の価値は35億ドルで、2019年に彼がチームを買収した当時の23億5000万ドルを大きく上回っている。
Eコマースの世界的パイオニアのアリババは、2014年の新規株式公開で250億ドルを調達し、その当時、史上最大のIPOとされた。同社の時価総額は2020年後半に8210億ドルに急騰したが、その後は中国政府から独禁法違反で29億ドルの罰金を課され、株価は70%以上暴落した。
さらに、米中間の対立が激化する中、今年10月に習近平国家主席が3期目入りを確定させた翌日に、アリババの株価は、1日で13%も急落した。ニューヨークに上場する中国企業の監査をめぐる米中の対立も激化し、アリババを含む中国のハイテク企業は、上場廃止のリスクにも直面している。
(forbes.com 原文)