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2022.12.19

アリババ共同創業者ジョセフ・ツァイ、360億円相当の株式売却へ

アリババの共同創業者で副会長のジョセフ・ツァイ(蔡崇信)(Photo by Kevork Djansezian/Getty Images)

米中の両政府からの圧力が高まる中、Eコマース大手のアリババの共同創業者で副会長のジョセフ・ツァイ(蔡崇信)は、自身の同社の持ち株の8%を売却する予定であることが、米証券取引委員会(SEC)への提出書類で明るみに出た。

ツァイは、ニューヨーク証券取引所に上場するアリババの株式300万株の売却をモルガン・スタンレーに依頼したとブルームバーグが最初に報道し、フォーブスは、インサイダー取引データを提供するWashington Serviceの報告書でそれを確認した。

16日の正午時点のアリババの株価87.55ドルをベースとすると、ツァイはこの売却で税引き前で約2億6300万ドル(約360億円)の現金を手にすることになる。フォーブスは、今回の売却前のツァイのアリババ株の持ち分が約21億ドル相当で、彼の保有資産の約4分の1を占めると推定していた。

モルガン・スタンレーはこの件に関するコメントを拒否し、アリババとツァイの資産運用会社のブルー・プール・キャピタルからのコメントはまだ得られてない。

フォーブスは、米国でNBAのブルックリン・ネッツのオーナーとして知られる台湾出身のツァイの保有資産を、最新の試算で83億ドルと推定している。彼が保有するブルックリン・ネッツの現在の価値は35億ドルで、2019年に彼がチームを買収した当時の23億5000万ドルを大きく上回っている。

Eコマースの世界的パイオニアのアリババは、2014年の新規株式公開で250億ドルを調達し、その当時、史上最大のIPOとされた。同社の時価総額は2020年後半に8210億ドルに急騰したが、その後は中国政府から独禁法違反で29億ドルの罰金を課され、株価は70%以上暴落した。

さらに、米中間の対立が激化する中、今年10月に習近平国家主席が3期目入りを確定させた翌日に、アリババの株価は、1日で13%も急落した。ニューヨークに上場する中国企業の監査をめぐる米中の対立も激化し、アリババを含む中国のハイテク企業は、上場廃止のリスクにも直面している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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