経済・社会

2022.12.19 11:00

トランプのSNSの上場がさらに難航、合併相手から幹部3人が離脱

ドナルド・トランプ (Photo by Joe Raedle /Getty Images)

ドナルド・トランプ (Photo by Joe Raedle /Getty Images)

ドナルド・トランプのSNS企業「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」を上場させようとしているSPAC(特別目的買収会社)の「デジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)」は12月16日、幹部の離職が相次いだことを発表した。当局の調査や市場の混乱に直面するDWACは、さらなる苦境に追い込まれている。

DWACは今月9日に取締役のロドリゴ・ヴェローゾと最高財務責任者のリー・ジェイコブソンが辞任し、先月末に取締役のルイス・フィリップ・ブラガンザが辞任したことを発表した。

これらの3人の幹部の辞任は、DWACによるトゥルース・ソーシャルの買収完了の期限とされた12月上旬の締切日の延長を決議する11月の会議の数日前に、別の取締役のJustin Shanerが突然辞任したことに続くものだ。DWACの株主らは、最終的に買収の期限を最長で2023年9月に延長することで合意していた。

同社の株価は、16日の取引で4%下落して19.20ドルをつけ、3月に記録した最高値の100ドル強から80%以上の下落となっている。

DWACは昨年10月、トランプが保守派の支持者を取り込むために立ち上げたSNSアプリ「トゥルース・ソーシャル」の買収計画を発表したが、長引く当局の調査を受けてこの取引は暗礁に乗り上げたままだ。検察と米証券取引委員会(SEC)を含む当局らは、トランプが保有するトゥルース・ソーシャルの親会社とDWACの間の疑惑を調査している。

DWACのCEOのパトリック・オーランドは、先月のカンファレンスで、この合併案の不透明なスケジュールについて質問された際、規制当局の審査について「情報を把握していない」とだけ回答した。トランプは15日に彼がここしばらく「重大発表がある」と宣伝していた事案の内容を公開したが、それは99ドルのNFTコレクションの発表だった。

2022年の年初から続く弱気相場の中で、取引を成立させるのに苦労しているSPACは、DWACのみではない。ブルームバーグの報道によると、12月5日にはわずか1時間足らずの間に合計110億ドル近いSPAC取引が中止に追い込まれていた。法律事務所White & Caseによると、今年の年初から9月までに完了したSPAC取引は約390億ドルで、昨年同期の3410億ドルから90%近く減少していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事