現在26歳のノア・マックイーン(Noah McQueen)が共同創業したスタートアップ「Heirloom」は、石灰石を用いた温室効果ガスの削減技術の開発に取り組んでいる。
石灰石は地球上で最大の二酸化炭素の吸収源のひとつとして知られるが、自然のプロセスではその吸収に膨大な時間がかかるのが難点だ。Heirloomは、石灰岩に超高温の加熱処理を加えて、大気中の二酸化炭素を迅速に吸収するツールに変えている。
マックイーンと共同創業者のシャシャンク・サマラ(Shashank Samala)が率いる70人のチームは、累計7000万ドル(約94億円)を超える資金を調達した。化学工学のバックグラウンドを持つマックイーンは、研究開発をリードしながら会社を経営することは、「飛行機を離陸させながら組み立てるようなもの」だと語った。
一方で、農業分野から社会にインパクトを与えようとしているのが、リン酸肥料の効率を高めるスタートアップ「Phospholutions」を設立した28歳のハンター・スウィッシャー(Hunter Swisher)だ。同社が開発した土壌添加剤「RhizoSorb」は、従来の肥料に混ぜるとリン酸肥料の効率を50%アップさせるという。
「当社のテクノロジーは、最も脆弱な食糧システムのギャップを埋めるポテンシャルを秘めている」と、これまで2200万ドルを調達したスウィッシャーは語った。
フォーブスは本年度のソーシャル・インパクト部門で合計30人の起業家を選出したが、そこには司法制度の改革に取り組んでいるメンバーも含まれている。
今から約10年前に交通違反の取り締まり中に警察官に銃撃され、下半身不随になったレオン・フォード(Leon Ford)は、警察改革を提唱し、2020年に「ヒア・ファウンデーション(The Hear Foundation)」を設立した。現在29歳のフォードがピッツバーグの警察署長とともに立ち上げたこの団体は、わずか6カ月で100万ドル以上の助成金を集め、銃暴力の削減や地域開発に取り組むプログラムを提供している。
刑務所改革に取り組むスタートアップ
一方、刑務所の改革に取り組む24歳のガブリエル・サルハシ(Gabriel Saruhashi)が設立した「Ameelio(アメーリオ)」は、受刑者と家族の間のコミュニケーションのギャップを埋めている。現在のシステムでは、家族が獄中の愛する人に電話をかけるには高額な通話料を支払わなければならないが、同社は、彼らをサポートする「コネクト」というプラットフォームを無料で提供している。
アメーリオはまた、受刑者たちに法的なサポートや職業訓練を提供して社会復帰を支援しており、アイオワ州やコロラド州、メイン州の刑務所と提携している。2022年2月に設立された同社は、リンクトイン共同創業者のリード・ホフマンとジャック・ドーシーから1100万ドルを調達した。
本年度の「30 アンダー30」の全メンバーはフォーブス英語版サイトで公開されている。
(forbes.com 原文)