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2022.12.27 12:30

米フォーブスが選ぶ「30歳未満」、企業向けテクノロジー部門

Getty Images

フォーブスは11月29日、北米の若手起業家やイノベーターを表彰する毎年恒例の「30アンダー30」リストの2023年版を発表した。ここでは企業向けテクノロジー部門の注目メンバーを紹介する。

ケサバ・キルパ・ディナカラン(Kesava Kirupa Dinakaran、22歳)は、インドの貧しい農家に生まれ、小学校卒業と同時に働くことを期待されていた。ある日、ディナカランはルービックキューブで遊んでいる友人を見つけ、解き方を尋ねた。彼は瞬く間に上達し、ルービックキューブの大会で優勝するようになった。

そして、16歳までに2つのギネス世界記録を達成し、奨学金を得て名門高校に入学した。修学旅行で米国を訪れたディナカランは、仕事もビザもないにも関わらず、そのまま米国に永住することを決意した。

ディナカランは、2020年3月に友人らと共同で設立した「Luminai」の成功により、2023年版の「30アンダー30」企業向けテクノロジー部門に選出された。当時、彼の収入源はハッカソンの賞金のみで、銀行口座には9ドル48セントしか残っていなかった。

Luminaiは、これまでにシリコンバレーのトップベンチャーキャピタルから2000万ドルを調達している。同社は、企業のカスタマーサービス担当者の業務を自動化するソフトウェアを開発し、収益を上げ始めている。

ディナカランは、これまでの綱渡りのような起業家人生について「私は世間知らずで、一般的な成功の基準を知らなかったために、より高い目標と大きな夢を持つことができた」と述べている。

フォーブスは、10年以上に渡って一般からの推薦をもとに「30アンダー30」のメンバーを選出してきた。候補者の条件は、12月31日時点での年齢が30歳未満で、これまでこのリストに選ばれたことがないことだ。

山火事やコロナ禍から生まれた企業も


このアワードの受賞者は、ビジネスの将来性だけでなく、ディナカランのように逆境をチャンスに変える確固たる意志が評価される。「Perimeter」の共同創業者であるベイリー・ファーレン(Bailey Farren、26歳)も、その良い例だ。消防隊員を両親にもつファーレンは、2017年に北カリフォルニアで発生した山火事で両親が住民に避難を指示する様子を目の当たりにした。

その1年後、彼女はカリフォルニア大学バークレー校で同級生だったノア・ウー(Noah Wu、25歳)と一緒に、消防署や公的安全機関が無線や紙の地図をモバイルソフトウェアに置き換えることを支援する会社を立ち上げた。

カリフォルニアの山火事と同じ頃、エマニュエル・オケンド・ロサ(Emmanuel Oquendo Rosa、29歳)とイスラエル・フィゲロア(Israel Figueroa、28歳)は、母国プエルトリコを襲ったハリケーン・マリアの被害に対処していた。多くの地域で電力が復旧していなかった頃、2人は医療機関の予約を受け付けるバーチャル受付サービス「BrianHi」を立ち上げた。
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編集=上田裕資

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