旧ソ連のタジキスタン生まれの55歳のブートは、2005年の映画「ロード・オブ・ウォー」で、ニコラス・ケイジが演じた武器商人のモデルになったとされる。2007年にはAP通信記者のステファン・ブラウンらが執筆した彼の伝記「Merchant of Death」が出版されていた。
元ソ連軍の将校のブートは、軍用ライフルから無人航空機まで、ありとあらゆる武器を独裁政権やテロリストに販売することで、世界各地の紛争に関与した。彼は、2008年に米国が主導したタイでのおとり捜査で逮捕され、コロンビアのテロ集団に数百万ドル相当の武器を販売した罪で有罪判決を受けた。
ブートは、2012年に25年の禁固刑を宣告され連邦刑務所で服役中だったが、無罪を主張していた。ロシアは、米国が彼を「不当に残酷な条件」で拘束してきたと主張し、10年以上にわたって身柄の返還を要求していた。
バイデン政権は、当初、グライナー選手がモスクワで拘束されてから3カ月後の5月に、グライナー選手とブートの身柄交換を提案したとフォーブスは報じていた。
グライナー選手は、WNBAのスター選手で、2020年の東京五輪では米女子バスケチームを金メダルに導いた立役者として知られている。彼女は、WNBAのオフシーズンにロシアンプレミアリーグでプレーしており、これまで何度もロシアに入国していた。
専門家は、彼女がロシアに身柄を拘束されたタイミングが、ロシアのウクライナ侵攻が始まる直前だったことから、ロシア側の何らかの政治的意図が働いた可能性があると指摘していた。
(forbes.com 原文)