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2023.01.12

業界先駆けのDXで高評価を得た、「第2回CIO Award」グランプリ受賞者は?【前編】

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コロナ禍によって一気に進んだ、日本のDX(デジタル・トランスフォーメーション)。Forbes JAPANは2022年2月、日本のDXを情報システムの側面からけん引するCIO(最高情報責任者、Chief Information Officer)を選出するCIO Awardをレノボ・ジャパンとともに設立した。今回は、12月に行われた「第2回CIO Award」に選出された5人に、実績や社内への働きかけ、今後の展望を聞いた。


そもそも情報システムといえば、既存システムの保守・運用が命題だったが、テレワーク整備などの働き方改革、販売チャンネルのデジタル化、またAIなどの最新テクノロジーを利活用した新規ビジネスの創出、サイバー攻撃に備えたセキュリティ強化など、CIOの管轄領域は近年で大幅に広がった。つまり、CIOの手腕によって、企業のDXはもとより、企業価値そのものが大きく変わる。

これまでレガシーシステムに依存してきた大企業もシステムを一新し、社内に眠るデータの利活用を始めたり、新システムにより社内横断でデータを共有し新規ビジネスの創出につなげたりと、新たな取り組みを始めている。

今回選出された5人もデジタル変革によって、業務の効率化と付加価値の創出を同時に推し進めている。改めてその取り組みを振り返りつつ、CIOの役割や今後のチャレンジについて聞いた。

第2回CIO Award 受賞者


グランプリ 東京海上ホールディングス・原田晋
経営貢献賞 旭化成・久世和資
ITシステム賞 三井不動産・古田貴
ITイノベーション賞 カインズ・池照直樹
Smart Technology賞 メルカリ・市原尚久

「人とデジタルのベストミックス」の実現を目指す【グランプリ 東京海上ホールディングス・原田晋】


東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)などを傘下に置く、保険持株会社・東京海上ホールディングス。事故受け付けから保険金支払いまでのプロセスにデジタルツールを取り入れた東京海上日動の「損害サービス・デジタル戦略」や、AIを活用した「事故状況再現システム」の開発・導入、リモートセンシングの活用や災害事前予測などのツールの開発・普及を目指す「防災コンソーシアム(CORE)」(発起人:東京海上日動)の立ち上げなど、デジタルの積極的な活用が評価され、今回グランプリに選出された。


レノボ・ジャパン 代表取締役社長 檜山太郎(左)・東京海上ホールディングス 常務執行役員 グループIT総括 グループサイバーセキュリティ管理総括 原田晋(右)

業界の先駆けとなるDXの取り組みは、経済産業省と東京証券取引所による「DX銘柄2022」に保険会社の中で唯一選出された。特に、「損害サービス・デジタル戦略」は、内閣府による「第3回 日本オープンイノベーション大賞」(2020年)の「日本経済団体連合会会長賞」を受賞するなど、高く評価されている。

これらの先進的な取り組みを支えているのが、同社が将来を見据えて先行的に投資し、刷新を続けてきたITシステムに他ならない。このIT部門を統括しているのが、常務執行役員 グループIT総括・グループサイバーセキュリティ管理総括の原田晋だ。

国内最大手の保険会社が、なぜこれほど積極的にDXを推し進めることができるのか。原田はその理由を次のように語る。

「近年は自然災害の激甚化やサイバー攻撃など、保険会社が取り組むべき社会課題やリスクは拡大・複雑化しています。当社のパーパスは『お客様や社会の“いざ”をお守りすること』ですが、さらに進んで、デジタル技術も活用して「お客様を“いつも”支える」存在へ進化する必要があります」

このため、保険を再定義して、防災・減災、事故の予兆検知など「事前、事後の領域」へのサービスの拡大、スピーディな商品開発、そして、データ、デジタル技術・AIを駆使したサービスの高度化が不可欠で、損害サービス領域から始め、大きく拡大していると話す。

「DXの推進においては、表面的なデジタル化や特定領域での技術活用ではなく、お客様接点から社内業務一つ一つまでデジタル活用・データ活用が浸透している状態を目指しています。構築した仕組みを徹底的に使い倒す展開・活用力も競争力の源泉です。一方、同時に我々の強みである「人の力」も存分に発揮されていることが重要で、「人とデジタルのベストミックス」を実現しなくてはならないと考えています」

そして、IT部門も、こうしたビジネス変革のドライバーとなるべく、常に先を見て大胆に自己変革することが不可欠。そのため原田が重点課題として取り組んできたのが、「システムインフラとプロセスの刷新、人材育成」を一体的に進めるIT部門の変革と組織作りだ。

業界の中でも先行してグローバルソリューションを導入しレガシーシステムの刷新を進め、銀座に新設したIT・ビジネスフュージョンチームは3年間で400名に拡大、クラウド活用とアジャイル開発で年間75件程度のビジネス創出、30件程度のデータを高度活用した施策の推進を実現できる体制まで成長した。

また、グループ全体でも、各社のCIOやエキスパートで構成するグローバルIT委員会を組成。グループ4000人のIT部門の総合力を生かしたサイバー対策、シナジーの追求、環境変化への対応力を強化し、グループのDXや成長戦略の実現を支えてきたという。

そして、何より大切にしているのが「ITを経営の真の力として活用する」ためのITガバナンス態勢。

エキスパートだけがDXに尽力しているわけではない。「これからの時代はシステムやビジネスを別個に議論することはもはやできない」との思いから、その中核となる「アプリケーションオーナー制度」を特に重視している。

これは、ビジネス部門とIT部門が互いの役割を果たしつつ、対等の関係で協業し、取組を進めていく制度。システム開発時における、両者の思い描く要件定義のすれ違いを防止し、責任や役割分担を共同で担うことを目的に設計された。このアプリケーションオーナー制度をベースに全社一体となって、スピーディな開発・意思決定、先手のIT実装(クラウド化やシステムのオープン化)を行い、デジタルイノベーションを仕掛けていきたいという。

反面、他社との協業の際の課題として挙げるのが、大企業特有の意思決定のスピードの減速、セキュリティ・ガバナンスなどのレベル感の差異だ。しかし、これについても必ず克服できると力強く語っている。

「大企業であることは言い訳にはできません。ポイントは、分野別に最適なアプローチを使い分けることだと考えています。ITの領域でいえば、『しっかり検討しシステムを構築することが適している』領域と『仮説検証型でスピード感をもって短期間でシステムをリリース・改善することが適している』領域があります。後者については、ITインフラ、アジャイル開発、Engineer Firstのマネジメント導入など、組織カルチャー変革やガバナンスの仕組みも今日的に見直してきたことで、社外との協業が劇的に進めやすくなりました。

一方、前者のアプローチが有効な分野も多くあります。最も重要な私の役割は、これら2つの領域が両輪として機能していくような体制・仕組みの整備をすることに加え、『こういう挑戦をぜひ一緒にやりたい」と多くの仲間に共感してもらい共にワクワクしながらプロジェクトを進めていくこと、 システム開発に関わる人全てが社会課題の解決に思う存分挑戦し、活躍できる世界を作ることだと思っています」

原田晋(はらだ・すすむ)◎1985年東京海上火災保険に入社。東京海上ホールディングス・執行役員IT企画部長、東京海上日動火災保険・常務取締役などを歴任し、2019年4月から現職。


>>第2回CIO Award 特設サイトはこちら


第2回CIO Award 受賞者インタビュー後編はこちら


レノボ・ジャパン
http://www.lenovo.com/jp/ja

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