企業も個人も「日本の伸びしろ」を探せ! 悲観を成長に変える思考力とは

イラストレーション=山崎正夫


──一人ひとりが「悲観を成長に変える思考力」を得て、実践していくにはどうすればいいか?

出口:昭和初期にあった「日本は狭いのだからこのまま人口が増えたら大変だ」という悲観論のように遠い未来を見通せるほど人間は賢くない。未来のことを見通して、当たらない悲観論に嘆くより、楽観論にだまされたほうが頑張れる。「幸せな未来」を具体的に考えていくことだ。そしてどうせだめだと思わずに行動していくことが大切だ。そのためには、まず選挙に行くこと。

すべての世代で投票率が上がり、特に若者が関心を示せば、政治家は当選し続けるために、必然的に若者のための政策を考えなくてはならない。投票したい候補者がいないから、選挙に行かないという人がいるが、誰もが考えるような優秀で魅力的な人物など、どこにいるのだろうか。

ウィンストン・チャーチルの言葉でもあるように、「選挙というものは、相対的にちょっとマシな人を選ぶ」、それだけでいいのだ。そうすれば変わらないように思えた未来も少しずつ変化していく。


でぐち・はるあき◎1948 年、三重県生まれ。 京都大学法学部を卒業。 72年、日本生命保険に入社、ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、 2008 年、ライフネット生命保険を開業、代表取締役社長に就任。18年より現職。

文=出口治明

この記事は 「Forbes JAPAN No.102 2023年2月号(2022/12/23発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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