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2022.12.18 19:30

パフォーマンスとエレガンスが高次元で融合した喜びあふれるクルマ──ALPINE A110 GT

Forbes JAPAN編集部

ALPINE A110 GT

チャレンジャーがいないと、すべては成長しない。ビジネスしかり政治しかり。クルマだって、スポーツカーはフェラーリとポルシェがあればいい、っていったら、少々味気ないものになりそう。フランスのルノーが「アルピーヌA110」なるミドシップの2人乗りスポーツカーを2017年に発表したときは、拍手を送りたい気分になった。

全長4205mmのボディに、1.8リッターエンジン搭載。1.1トンに抑えられた車重に対して250馬力から300馬力の出力は十分すぎるほどパワフルで、往年のポルシェ911を連想してしまった。

911は6気筒水平対向エンジンを後車軸より後ろに搭載しているので、成り立ちはまったく違う。けれど、コンパクトで、軽快な走りで、小粋と表現したいスタイリングなど、同様の魅力がある。

小粋とは、エラぶっていないということでもある。一方、決して安いクルマでない。

知っているひとは、知っている。持ち主の買い物のセンスを表現するのに、最もいいクルマかもしれない。

一方、A110は“ピュア”である。つまり、スポーツカーなのだ。飛ばすときは、それなりの腕前を要求する。まあ、これはどんなスポーツカーにも共通することだけれど、ある一線(たとえばコーナリングスピード)を超えたとき、ちゃんと御すことができるか。御せれば、得がたい喜びがある。オーナーは一度はサーキット走行を経験するといいかもしれない。

スポーツカーに慣れたひとはこういう楽しみかたが上手だ。スポーツと同じなのだ。ゴルフだって、サーフィンだって、最初から簡単に楽しめるってものではない。練習を重ねていくうちに上達し、だんだん楽しみが増す。操縦も同様である。

A110は、スタイリッシュだ。でも、真の魅力は、つきあっていくオーナーにこそわかる。その価値あるクルマなのだ。


FRONT VIEW


REAR VIEW


SIDE VIEW

ALPINE
A110 GT

ボディ外寸 全長×全幅×全高=4205×1800×1250mm
重量 1120kg
駆動形式 後輪駆動
総排気量 1798L
最高出力 185kw(252ps)/6000rpm
価格 893万円から
問い合わせ https://www.alpinecars.jp/

レーシングカーに強みを持つ、伝統あるフランス発スポーツカー。


そもそものアルピーヌは、1955年に創業。当初のオーナーは、ルノー車の販売店を営んでいたジャン・レデレで、フツウのルノー車をベースにレーシングカーをつくりあげる技術に長けていた。その後、ルノーに買収され、ルノー・アルピーヌとして量産スポーツカーやレースカーを送り出すようになった。代表的なモデルが、63年に第1号がリリースされたリアエンジンのA110(オリジナル)で、世界ラリー選手権などで優秀な成績を上げた。いまのA110はこのクルマにインスピレーションを受けたものだという。現在、アルピーヌはルノーの一翼で、モータースポーツを担当。なかには、2021年にE・オコンとF・アロンソを擁してスタートしたBWTアルピーヌF1チーム、A480なるレーシングマシンで参戦するFIA世界耐久選手権、それにEスポーツなるバーチャルレースなどが含まれる。

photographs by Tsukuru Asada (MILD) text by Fumio Ogawa | edit by Tsuzumi Aoyama

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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