米上院「TikTok禁止法」を全会一致で可決、下院で採決へ

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米国上院は12月14日、連邦政府が所有するすべてのデバイスで、中国企業バイトダンスの動画投稿アプリ「TikTok」の利用を禁止する法案を全会一致で可決した。

TikTokを通じた中国への情報流出を警戒する声は各州の議員からあがっており、ミズーリ州選出のジョシュ・ホーリー議員(共和党)は、「No TikTok on Government Devices Act」と呼ばれるこの法案を昨年提出していた。この法案は来週、下院で採決される予定で、可決されればバイデン大統領の署名を経て成立する。

フロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は13日に発表した超党派の法案で、TikTokだけでなく、中国、ロシア、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラの影響下で開発された他のすべてのSNSアプリの禁止を提案していた。

ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)は、15日に各州のトップに送ったメモで、政府のデバイスからTikTok、WeChat、テレグラムを禁止することを提案し、その理由に「機密情報へのアクセスと侵入の試みを阻止する責任」を挙げていた。

アラバマ州のケイ・アイヴィー知事(共和党)は12日に、情報技術長官に対し、「セキュリティ上の懸念が高まっている」「このアプリを使用すると、中国の侵入工作に対して許容できない脆弱性を生む可能性がある」として、同州のネットワークやデバイスへからのTikTokへのアクセスを禁止するよう命じた。

一方、ウィスコンシン州の複数の共和党議員は、トニー・エバーズ知事(民主党)に送った書簡で、TikTokが「米国市民を監視する中国共産党(CCP)の極悪スパイウェアだ」と断言した。その書簡は、バイトダンスが米国市民の位置データを監視する計画だと報じたフォーブスの記事と、同アプリによってユーザーのキーストロークが追跡可能になっていると報じたニューヨーク・タイムスの記事を参考にしたものだった。

ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は16日のロイターの取材に、上院が可決したTikTokの禁止法案を下院が支持するかどうかをまだ決めていないと述べたが、「これが非常に重要な法案であることは認識している」と話した。

FBIのクリス・レイ長官は先月、TikTokが米国のデバイスを「技術的に侵害」する可能性があると指摘し、「中国政府がTikTokを使って数百万人のユーザーのデータ収集をコントロールしたり、レコメンドのアルゴリズムを制御したりして、影響力を行使する恐れがある」と述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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