核融合反応は太陽や星のエネルギー源だが、科学者たちは2つの原子核を融合させて1つの原子核を作ることでこれを再現した。米エネルギー省によると、2つの原子が結合する際の爆発的プロセスからは莫大な量のクリーンエネルギーが生成されるという。
国際原子力機関(IAEA)によると、核融合は二酸化炭素やその他の有害な排出物を一切出さないため、「最も環境に優しいエネルギー源」の一つだという。
ローレンス・リバモア国立研究所のチームは5日に実施した実験で、世界で初めて核融合炉の燃料から投入を上回るエネルギーを引き出した。エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は12日の記者会見で「21世紀で最も印象的な科学的偉業のひとつが達成された」と述べた。
ただし、今回の実験結果は有望なものではあるが、非常に大きな課題も残されており、この研究が商用エネルギーに活かされるまでには、数十年がかかるかもしれないと、ローレンス・リバモア国立研究所の所長のキム・バディル博士は述べている。
フィージョン・インダストリー・アソシエーション(FIA)のアンドリュー・ホランドCEOは、フォーブスの取材に、「次のステップとしては、パイロットプラントにつながる工学、科学、設計を行う作業に取り掛かる必要がある」と述べた。なぜなら、核融合を広範囲に利用するためには、より速く、より安価に核融合を再現する方法を考え出さなければならないからだという。
科学者たちは、1930年代から核融合プロセスを正確に再現する試みを重ねており、英国を拠点とする欧州合同トーラス研究所(Joint European Torus, JET)は今年2月に、2種類の水素を結合させてエネルギーを取り出すことで、5秒間で59メガジュールのエネルギーを発生させ、24年前に達成した記録を塗り替えた。
しかし、ローレンス・リバモア国立研究所のチームは、レーザーを使った核融合実験で、燃料に投入した以上のエネルギーを生み出し、「純増」させることに世界で初めて成功した。
同チームのディレクターのマーク・ハーマンによると、この実験では、コショウの実ほどの大きさの水素燃料のペレットを入れた金のカプセル(ホウルラウムと呼ばれる)に、192本のレーザーを照射したという。その結果、投入したレーザーのエネルギーが2.05メガ・ジュールであったのに対し、3.15メガ・ジュールのエネルギーが生成できたという。
(forbes.com 原文)