北半球にいる人なら誰でも、今週、日没後に外へ出て南東の空を見上げれば非常に明るい「星」が2つ見えるはずだ。
それはどちらも惑星だ。
南の空高く昇っているのが木星で、マイナス2.50等級で輝いている。やや下の東には赤みがかった火星が、マイナス1.75等級で輝いている。
この数日から数週の間に「新しく」明るい「星」を見つけたなら、それはおそらく火星だ。つい先週、火星は26カ月に一度の特別に明るい「衝」を迎えた。今でもすばらしい光景を見せている。
しかし今、日没直後の南西に見え始めているのは金星だ。この惑星は驚きのマイナス3.8等級で輝いていて、太陽と月を除いて最も明るい天体である。実はたった今見るのはかなり難しいのだが、クリスマスが近づくにつれ、少し高く、やや暗くなった夕暮れの空に昇ってくる。
クリスマスまでに金星は夕方の夜空により高く昇り、少しだけ見やすくなるだろう。これが「クリスマスの星」だったのか?
イエス・キリスト生誕のとき、空に現れたとされる星に関する古い伝説について、何世紀にも渡って憶測を呼んできた。
マタイによる福音書では、その星が3人の男をキリストへと導いたとされている(西方教会では1月6日の公現祭で祝われている)ので、あれは超自然現象だったのだろうか。
もちろんそうではない。そんなものは存在しない。
では、何だったのか?
教会の向こうに見える「大接近」を間近に控えた土星と木星。これが「クリスマスの星」だったのか。2020年12月18日撮影(Getty Images)
この星の明るさについて語られている特徴から考えると、2つの惑星、おそらく土星と木星の組み合わせかもしれない。17世紀のドイツの天文学者で惑星運動の法則を発見したヨハネス・ケプラーの説によると、この2つの惑星は紀元前7年に、空で大接近したことが3回あるという。
土星と木星は、2020年12月25日直前に、同じように稀な位置関係で見ることができて、一生ならぬ「十生に一度」の出来事といわれた。