FRB、来年の政策金利見通しは5%超に引き上げ 当面利上げ継続へ

連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長(Photo by Alex Wong/Getty Images)

ここ数カ月、米国の物価上昇率は歴史的にはなお高い水準にあるものの、おおむね低下傾向にある。にもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)が14日に更新した政策金利見通しでは、過半数の当局者が2023年には5%を超えると予測した。9月に示した前回の見通しでは、5%超とした当局者はゼロだった。

利上げ幅は縮小


FRBは14日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想どおり0.5ポイントの利上げを決めた。前回まで4回連続で0.75ポイントの利上げを続けたが、利上げ幅を縮めた。

今回のFOMCでより注目されていたのは、短期の政策金利見通しを含む2023年の経済見通しだった。

春ごろには利上げ停止か


それによると、2023年の政策金利のピークは5〜5.5%の範囲になるようだ。これは2023年の早い時期にさらに数回、利上げが行われることを示唆している。ただ、来年の利上げは今年よりも回数が減り、引き上げ幅はだいぶ小さくなる公算が大きい。

これは市場の見方ともおおむね一致する。金利先物取引は2023年の早い時期に一段の利上げが行われる可能性を織り込んでいるが、中心シナリオではFRBはおそらく春ごろまでに、利上げを見送るようになるとみられている。

FRBの中期の見通しでは、政策金利は2024年には低下するとされるが、予測値には幅がある。金利は同年以降低下していき、2025年には2.5%前後になるとみられている。

こうした金利シナリオに沿い、個人消費支出(PCE)物価指数は2023年にかけて目標をやや上回る3%程度で推移し、2025年には2%弱まで下がると予測されている。

賃金インフレに懸念


FRBの最新の金利見通しは、FRBがインフレの沈静化に確信をもてていないことを示している。FRBは賃金の上昇圧力によって物価は引き続き押し上げられるのではないかと懸念している。インフレ関連のデータはこのところ明るいものが多いが、FRBがしばらく利上げを続けない限り、物価上昇率が目標の2%に戻るのは難しいだろう。

米国のインフレはピークを超えたかもしれないが、FRBが利上げを打ち切るのはまだ先になりそうだ。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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