写真共有アプリ「BeReal」を2022年マイ最優秀賞に選んだ理由

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「本物であること」は2022年のテーマであり、2023年になっても続くだろう。

私たちはみんな、インフルエンサーのライフスタイルにうんざりしている。プロのカメラマンが撮影したと思われる加工されたInstagram(インスタグラム)の画像などだ。

現実はそのようにはいかない(例えばポーズをとった写真、明るい日光、高級カメラ機材など)。また、ビーチにいる完璧な体つきの大富豪と自分を比較するなど、ソーシャルメディアがうつ病を引き起こすという報道も私たちは知っている。

私は以前から述べているが、ソーシャルメディアの真の危険性はインフルエンサーの写真を見たり、たまに友人や家族と自分を比べたりすることではない。この10年間、ソーシャルメディアは私たちの暮らしの中にあるが、真の危険性は私たちが消費する膨大な量の投稿とより深い関係がある。高級マンションや高価な服の写真を1000枚も長期にわたって見せられたら、いずれ自尊心にヒビが入る。

以前、警察ドラマについて私が読んだコメント(さらっと呼んだだけだったので出所は思い出せない)が頭をよぎる。暴力シーンが多い警察ドラマが好きだとして、最初の100回くらいは何も影響はないかもしれない。数年後でも問題ないかもしれない。ただし10年間、毎晩見続けたらどうだろう。実際に心理的な影響を受けるかもしれない。

ソーシャルメディアも同じだ。Instagramで光沢のある写真を何枚か一度にフリップして見た後に心理的なものが変わるわけではない。しかし、これらのアプリを10年間使い続けたときの影響はどうだろう。解決策の1つはアプリを完全に無視することだが、そうするとアプリが提供する価値、たとえば社会的なつながりや製品の発見、純粋なエンターテインメントを失うことになる。

幸いなことに、BeReal(ビーリアル)というアプリが2022年にソーシャルメディアをもう少し価値のあるものにしようと斬新な試みを行った。BeRealは2020年に登場したが、2022年になって人気が出た。BeRealは地域のインフルエンサーと協力し、彼らの影響力の輪の中でアプリを宣伝した。このアプリは「本物であること」を促進している。1日のうち特定の時間になると、実生活で起こっていることの写真を撮って投稿するよう促す通知が表示される。そうした写真は演出の準備なしのものだ。

私はこのアイデアを気に入っているが、このプロセスを回避する方法もあることに気づいた。実際に演出された写真を後で投稿することができるので、通知のルールを守ることにした場合のみこのプロセスは機能する。私の場合は、あらかじめ決められた時間に何枚か写真を投稿した。スパゲティと破れた靴の写真を撮った。どう考えても平凡な写真。でも、リアルだ。
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翻訳=溝口慈子

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