スタートアップ支援事業を行うガイアックスの調査では、大学の起業部は2018年頃から増え始め、その当時20だった数は、2022年現在では43にまで増加。しかし、実は2021年から2022年にかけては14%減少している。背景には、部活を率いる後継者の不在や部員たちの熱量維持の難しさが存在するという。
そのような状況のなかで、岐阜大学の起業部は、どのようにモチベーションを維持して、活発に活動しているのか。顧問の上原雅行(うえはら・まさゆき)准教授に話を聞いた。
自分たちから学生を勧誘しない
岐阜大学では2017年から起業家教育に取り組んできた。「新規事業の作り方」という名のもと、ビジネスを学ぶ授業が始まり、それを受講した当時3年生だった長曽我部竣也(ちょうそかべ・しゅんや)くんが上原准教授とともに起業部を立ち上げた。
設立時に起業部は、1つのルールを決めた。それは自ら「勧誘をしない」ということだ。体育会などでは、全国大会出場や地区のリーグ戦優勝といった1つのゴールを決めて組織で共有する。一方、起業部は、それぞれ部員にはやりたいことがあり、明確なチームとしての目標は存在しない。
そこで、やりたいことのある熱量の高い学生が自発的に入部してくるように、ルールをつくったのだ。
現在に至るまで、一貫してルールは守られているのだが、代わりに部員の勧誘として機能しているのが起業に関する授業だという。
上原准教授は、2020年4月から「アントレプレナーシップ入門」を、1年生向けに開講したが「授業が起業部を知る入り口になっている」と話す。
「部員の半分程度は私の授業の受講生です。授業では、長曽我部くんや今の部長にも講演してもらっていて、それを聞いた学生が部活に入ってきます。全学に散らばっている、起業意欲を持つ学生を集める手段として、授業が機能している。単位も取得できるので、授業も盛況です(笑)」
上原雅行准教授