アメリカン・イーグルやエアリーの親会社アメリカン・イーグル・アウトフィッターズで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるクレイグ・ブロマーズは、「デジタルファッションを販売できる日が遠からずやって来るのは、間違いないと思う」と述べる。
他の小売店は、公式サイト内に、実際に購入可能なホリデー商品がずらりと並ぶバーチャル版ホリデースペースを開設している。華やかな気分に浸れるスペースを、クリックしながら進んでいく仕組みだ。お好みの商品を見つけるために何ページもひたすらスクロールせずに済む。買い物客は、何かをダウンロードしたり、VR用ヘッドセットを付けたりする必要もなく、物理的な商品を購入できるようになっている。
たとえば、コスメブランド「シャーロット・ティルブリー」は、公式ウェブサイトの上部にバナーを表示して、バーチャルストアを紹介している。そこは、金色のクリスマスツリーとミラーボールがきらきらと輝く、近未来的な空間だ。
ユーザーは、あれこれクリックすることで、自分のアバターのヘアスタイルや肌の色、メイクをアレンジできる。友だちと同時にログインすれば、エメラルドグリーンのアイシャドウや、マットな深紅のルージュ、漆黒のマスカラなどのコスメを一緒に見て回ることも可能だ。短いコンピューターゲームに挑戦した人には、割引クーポンが発行される。
こうしたバーチャルショップを運営しているのは、体験型eコマースプラットフォームを提供するテック企業「オブセス(OBSESS)」だ。同社は他にも、コーチやクロックスといったブランドや、グッズを販売する米セント・ジュード小児研究病院などと提携し、2022年の年末商戦にバーチャルショップを開設している。
2022年は、さまざまなタイプの組織も、ホリデーシーズンにあわせたバーチャルショップを開設している。オブセスの顧客のうち10社中8社は、デジタル空間を一新して、多くがゲーミフィケーションを取り入れたり、ソーシャル面を強化したりしている。昨年は、物理的な店舗をバーチャル上に再現するだけのブランドがほとんどだった。
オブセスの創業者で最高経営責任者(CEO)のネハ・シンは、買い物客は、通常のウェブサイトよりもバーチャルサイトで、より長い時間を過ごすことが多いと話す。それが、購入率25%増、平均注文金額20%増という結果につながっている。また、友人を誘ってバーチャルショップを訪れると、滞在時間が200%も延びる。
「当社と提携するブランドの多くは、ミレニアル世代とZ世代を呼び込むためにバーチャルショップを開設している」とシンは話す。「ミレニアル世代とZ世代は、他の世代よりも、こうしたバーチャル体験を求めている」
(forbes.com 原文)