ビジネス

2022.12.18

2022年の年末商戦、メタバースにショップが続々開設

クロックスのバーチャルホリデーストア(写真=OBSESS)

米サーフ系ブランド「パシフィック・サンウェア(PacSun、パックサン)」のデザイナーたちに、新たな指令が出た。シーズンごとに、メタバース向けコレクションをデザインせよという指令だ。

同ブランドの顧客層であるティーンエイジャーたちは、クリスマスやハヌカ(12月末のユダヤ教の祭り)シーズンのプレゼントとしてリアルな洋服を要望したなら、自分のアバターにも、それと同じデザインの服を着せたいと思う可能性が多少なりともあるかもしれないからだ。デジタル版のほうが価格はお手ごろで、ゲームサイト「ロブロックス」では5ドル未満で購入できる。

パックサンのブリエンヌ・オルソン社長は、同社の顧客は85%がZ世代である点を指摘し、「自分と同じようなファッションをアバターにも着せたいという強い願望があると感じた」と述べる。「もちろん我々は、リアルな商品を提供することを何よりも重視している。しかしデータを吟味すると、バーチャルが急速に追い上げている」

小売店の成否を決定づける年末ホリデー商戦の四半期損益に、メタバースが影響を与えることはほとんどないかもしれない。とはいえ、メタバースが次なるブームになるとすれば、波に乗れずに取り残されてもかまわないと考える企業はひとつもないだろう。いざブームが始まろうとしているときに、流行に乗り遅れていると思われたくないはずだ。

小売店の多くは、バーチャル空間において、ホリデー商品を無料で提供している。アマゾンがプリント版で発行しているホリデー用玩具カタログでは、ロブロックスの新しいバーチャルワールドへと買い物客を誘導しており、おそらくはその勧誘のために、キツネのバーチャルマスクも無料配布している。

米アパレルブランドのアメリカン・イーグルはロブロックスで、ベルリンとニューヨークの有名なマーケットをイメージしたバーチャル空間「アメリカン・イーグル・ホリデー・ヴィレッジ」を開設した。イルミネーションで飾られた店が立ち並び、雪が優しく舞い落ちるなか、アバターたちは、ホットコーヒーを飲んだり、氷の彫刻をつくったり、ショッピングしたりする。

同社ブランドのフランネル商品やセーター、パーカーのデジタル版は無料だ。この戦略を採用して以来、試着した人は3500万人に上る。2022年に入ってからロブロックスにスペースを開設したブランドとしては、グッチに次いで2番目に多いエンゲージメントを獲得した。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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