テスラ車に「高解像度レーダー」が再び追加される可能性

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また、ファントムブレーキにも有効だろうレーダーは、前方にクルマがいるかどうか、特にそれが動いているかどうかを、より確実に読み取ることができる。それによって最悪な偽陰性(衝突の原因となる)を減らすことができるし、偽陽性(ファントムブレーキの原因)も減らすことができる。

もしこれがうまく行くなら、テスラが「occupancy network(オキュパンシーネットワーク)」と呼んでいる、「視覚に基づくバーチャルLiDAR」(視覚情報だけを元に他の物体に隠された物体の存在を予測する機能)の新しい取り組みが、十分な信頼性を持っていないことも示唆されることになる。人間の脳は動いている映像を見て、見えているものがどのくらい遠くにあるのかを把握することができる。ニューラルネットワークツールでも同様のことが可能だが、その際に脳のようなパワーと信頼性はともなっていない。LiDARやイメージングレーダーは、頭脳の力を駆使して推測や発見を行う必要はなく、その情報をダイレクトに読み取るだけだ。

これは、世間が思っているほどマスクにとって大きな転換ではない。彼は日頃からLiDARを否定しているが、イメージングレーダーについてはより柔軟な態度をとっている。特に光を使わないことから、多くの点でLiDAR以上に人間を超える能力を得ることが可能なためだ。テスラはセンサーフュージョン問題への非難は撤回しなければならないが、それ以外は、これまでの発言から考えても妥当な選択だろう。

「FSD(フル・セルフドライビング)」パッケージを事前購入した車両すべてに改造を施さなければならないが、このようなレーダーはまとめて数百ドル(数万円)しかかからないし、車内にはすでに取りつける場所がある。1万5000ドル(約200万円)も払えば(あるいはもっと安く)改造は可能だろう。また、カメラを新しい高画質なものに交換し、さらにプロセッサも交換する必要があるだろう(とはいえ多くのオーナーに対してすでに一度行ったことだ)。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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