「グローバルチキンフードカンパニ―」へ
──今後の展望についてお聞かせください。
長期ビジョンを「グローバルチキンフードカンパニ―」としています。今後は海外も見据えて展開しつつも、事業領域は「チキンフード」に定めるつもりです。
まず国内において、これまでは東名阪のみの出店でしたが今回、福岡の博多に初出店しました。来年にはフランチャイズ企業と協力して全国へ一斉に進出できるよう準備を進めています。また「トリキバーガー」にも力を入れていきます。
感染症は10年に1度流行るとも言われていますし、アルコールを提供する業態だけだとまた、全店休業のような目に遭ってしまうかもしれません。
コロナ禍でもハンバーガー業態などは比較的堅調でしたから、将来的なリスクに備えるためにも育てていきたいですね。
海外展開については、コロナ禍で一旦中断していましたが、再び動き始めています。再来年の春までにロサンゼルスに「鳥貴族」海外1号店を出店できるように計画を進めています。
──初進出の地にロサンゼルスを選んだ理由は?
10年以上前から様々な国を検討していました。私たちの場合、同一の国でチェーン展開する方がスケールメリットをつくれるんです。そうなるとやはりアメリカはうってつけですね。私たちにとって「チェーン店の先生の国」であるとも言えるアメリカには、チェーン展開するためのインフラが整っているんです。
今アメリカで「寿司」「ラーメン」の次に焼き鳥が来そうなんですよ。ロサンゼルスには焼き鳥屋が増えていて、今後はアメリカ全土に広がっていくのかなと。
「チキンフードと言えば鳥貴族」と言われたい
──焼き鳥の土壌がロサンゼルスにできているんですね。
アメリカのフード関係のワードを検索すると1番が「寿司」、2番が「刺身」、そして3番が「焼き鳥」なんです。実はアメリカでもビーフ以上にチキンが消費されているんです。ヘルシー志向もあって、特にファーストフードでチキンが人気になっています。そういうトレンドも踏まえて「トリキバーガー」を開発したんですよ。アメリカでよく見かけるお店を日本に持ち込みたいというのがきっかけでした。
──コロナ禍で始めたテイクアウト事業を増やしていく予定はありますか?
逆に数を減らしています。元々厨房が、イートインとテイクアウトの両方を賄える規模を持っていないんですね。通常営業を再開させると両立が難しく、本来のお客様に迷惑をかけてしまいますから。
──今後、豚肉や牛肉に手を出すことは考えていますか?
今のところは考えていません。あくまでも鶏肉のサプライチェーンを強化していくつもりです。「チキンフードと言えば鳥貴族ホールディングスグループ」と言われる企業にしていきたいですね。
後編>> 鳥貴族社長に聞いた「トリキではどう注文するか、何で飲むか」に続く
インタビュアー:市島晃生(いちじま・てるお)◎1966年神奈川県生まれ。テレビディレクター、演出家。「食べ方学会」会長として同人誌「食べ方図説」発行人も務める。365日、不規則勤務を強いられる放送業界で苛酷な業務をこなしがら、今日の仕事と明日の充実のため、ベテランテレビマンならではの「一番おいしい」「完食」の奥義を追求し続けてやまない。グルメ、バラエティー番組を中心に「料理の鉄人」「ウンナンのホントコ」「マジック革命!セロ」「極皿〜食の因数分解」「奇跡の晩餐〜ダイニングアウト物語」などを担当。著書に『絶対にうまい食べ方』(2014年、中経出版刊)。J-WAVE「START LINE」内「FROM MY KITCHEN」では放送作家も務める。食べ方学会