ビジネス

2022.12.18

奄美大島で体験する「リトリート」と「経営」との接点とは?

「ザ・シーン〜ウェルネスリゾート〜」で開催されたリトリート・ツアー

新しい生活様式に変わったここ数年、健康的なライフスタイルを送る意識の高い層から注目されているリトリート。本来「隠れ家」や「避難場所」を意味するのが「リトリート」だが、近年では、「日常生活から離れてリフレッシュする時間を持ち、心身をリセットする定義」で捉えられ、いま続々とそれを謳うホテルが全国でオープンしている。

そんななか、いち早くリトリートを掲げていたのが奄美大島「ザ・シーン〜ウェルネスリゾート〜」だ。ここで開催されたツアーには、働く女性のお一人様客が多いリトリートのイメージを一新。経営者やスタートアップの起業家など、実に様々な参加者が集った。いま、旅は観光だけではない。「真のリトリートとは?その先にあるビジネスとは?」に迫る。


リトリート・ツアーの舞台は、神の宿る世界自然遺産の奄美大島


心・体・脳を浄化する「ネイチャークレンズ」をコンセプトに、健康のための旅=リトリート・ツアーを販売したのは、ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」などを展開する「nobitel」が展開するリトリート&ネイチャースポーツの旅・ホテルの予約サイト「ウェルトリ」。

各ジャンルで活躍するプロジェクト・メンバーによって企画された2泊3日のリトリートには、クリエイティブ・ディレクターにタレントの田中律子を迎え、ネイチャークレンズ誕生の地である奄美大島のホテル「ザ・シーン〜ウェルネスリゾート〜」で開催された。

鹿児島県・奄美大島は、昨年、世界自然遺産に認定された注目の地。奄美大島空港から車を走らせ2時間。最南端の秘境に位置する「ザ・シーン〜ウェルネスリゾート〜」は、全ての部屋がオーシャンビューのビーチが広がる21室から成るスモール・ラグジュアリーホテルだ。

ホテル開業翌年は赤字1億円。ウェルネスリトリート企画でV字復活!


「ザ・シーン〜ウェルネスリゾート〜」の支配人兼「nobitel」トラベル・ホテル事業部執行役員の小林良輔は、東京で車を販売すれば、たちまちミリオンセールスを記録した元・トップセールスマン。


「ザ・シーン〜ウェルネスリゾート〜」の支配人兼「nobitel」トラベル・ホテル事業部執行役員の小林良輔

「2014年から会社の辞令で奄美大島に異動し、2015年にホテルを開業して現職に就任しました。支配人とは名ばかりで、当初は、4畳半の部屋で寝泊まりしてフロントから厨房作業まで、ひたすら現場業務をこなしていましたが、開業翌年に1億円の赤字を出してしまって。

意気消沈していた時、海に向かってヨガをしながら涙を流しているお客様を目にして心が打たれました。そこで、何とかしなくては!と心を奮い立たせて。徹底的にミーティングを重ね、それまで、ふんわりとリゾートホテルというコンセプトを掲げていましたが一新!

『心と脳と筋肉と腸』にアプローチする『ネイチャークレンズ』をコンセプトに掲げ、2017年から大自然の非日常の中で行う『リトリート』を真剣に取り組む事にしたのです」

当時は、『リトリートって何?』と全く認知されていなかったものの、この新コンセプトは、ウェルネス・癒しを求める本物志向の大人に口コミで広がっていったという。開業7年目を迎え「リトリートなら、ザ・シーンがいい」と浸透させた。そのノウハウは、伝説と言われるほどの車のセールスマン時代に培った、緻密な人間関係の蓄積とSNSにあった。
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取材・文=中村麻美

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