米国の中古車価格、新車時を上回る 慢性的な在庫不足で

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米国では新車の在庫不足が過去2年間にわたり続いたことで、非常に多くの購入希望者が必要に迫られて中古車市場に流れ込んだ。これにより中古車の在庫も大幅に減り、価格の大幅な上昇につながった。

中でも極端な例が、ポルシェの人気スポーツカー「911」だ。今年1月~10月の中古車取引約300万件を分析した中古車販売情報サイト「アイシーカーズ・ドットコム(iSeeCars.com)」によると、3年落ちポルシェ911の価格は、元々の希望小売価格から5.7%増加した。金額にして1万1373ドル(約160万円)の上昇となる計算だ。

同サイトのエグゼクティブアナリストであるカール・ブラウアーは「このようなことは中古車価格において前例がない」と語る。「3年落ちの中古車が新品のメーカー希望小売価格より高いモデルが複数出てくる状況はこれまでになかった」

同サイトのデータによると、3年落ち中古車の価格が新車時より高くなっているモデルにはポルシェ911の他、トヨタの「RAV4ハイブリッド」(+2.5%)、ジープの「ラングラー・アンリミテッド」(+2.0%)、ポルシェの「718ケイマン」(+1.8%)、ジープの「ラングラー」(+0.3%)がある。

3年で価値は下がったものの下落幅が最も小さかったのは、四角い箱型が特徴的なメルセデス・ベンツのSUV(スポーツ用多目的車)「Gクラス」で、わずか0.6%減にとどまった(ただ、元々の価格が約13万ドル=約1800万円からと、かなりの高級車ではある)。3年落ち中古車の価格は平均でメーカー希望小売価格から16.9%下落。ガソリン価格の高騰が続いたことから、値下がり幅が小さいモデルの多くは燃費が良い小型車やSUVだった。

ほかに3年間での値下がり率が小さかったモデルとしては、ホンダ「シビック」(-1.4%)、スバル・「クロストレック」(-1.9%)、トヨタ「C-HR」(-2.5%)、ポルシェ「718ボクスター」(-2.5%)、トヨタ「RAV4」(-2.6%)、トヨタ「カローラ・ハッチバック」(-3.4%)、キア「リオ」(-3.5%)、シボレー「カマロ」(-3.5%)、テスラ「モデル3」(-4.1%)がある。

5年落ち中古車で値下がり幅が最も小さかったのはジープの「ラングラー」で、わずか7.3%減だった。値下がり率の全米平均が33.3%だったことを考えると、かなり低い数字だ。一方、高級車は値下がり率が大きく、BMWのセダン「7シリーズ」は取引価格が5年で56.9%も下がっている。

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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