現地メディアによると、バンクマンフリードの弁護士は、13日にバハマの裁判所で、バンクマンフリードがバハマの永住者であり、米国の管轄権が及ばないことを理由に、保釈を認めるよう裁判所に要請したという(バハマのメディアは以前、彼が永住者であるかどうかを疑問視していた)。検察側は、バンクマンフリードは逃亡の恐れがあり、保釈を認めるべきではないと主張した。
警察は、バンクマンフリードの家族らが彼の薬を受け取るために彼の自宅に向かう際に同行し、そこには彼の両親も同席していたと報じられている。本稿執筆時点では、バンクマンフリードの現地弁護士およびバハマ政府関係者からのコメントは得られていない。
バンクマンフリードは、米国の弁護士として、メキシコの麻薬密売組織の最高幹部のホアキン・グスマンを弁護したマーク・コーエンを雇っている。彼は、ロイヤルバハマ警察によってよって、高級住宅街アルバニーのアパートで逮捕された後、12日の午後6時に身柄を拘束された。
バハマの司法長官兼法務大臣のライアン・ピンダーは、彼の逮捕が、米国からの正式な通知を受け取ったことを受けてのものだと説明した。バハマのフィリップ・デイビス首相は声明の中で、「我が国と米国は、国民の信頼を裏切り、法律を破った可能性のあるすべての個人の責任を追及することに共通の関心を持っている」と述べた。さらに、「バハマは、米国やその他の国の法執行機関らとの継続的な協力の下で、独自の調査を継続する」と付け加えた。
FTXは「砂上の楼閣」
13日に米国証券取引委員会(SEC)、米国商品先物取引委員会(CFTC)、ニューヨーク南部地区裁判所は、バンクマンフリードが、FTXの顧客と貸し手を欺くために、資金を悪用するスキームを考案すると同時に、FTXの誇大宣伝を行ったとする告発状を大々的に発表した。
SECのゲンスラー議長は声明で「我々は、バンクマンフリードが投資家を欺きつつ、欺瞞の上に砂上の楼閣を建てたと主張する」と述べた。
米国とバハマの間には1931年以来、犯罪人引渡し条約が存在し、容疑者が書面で同意した場合、その者を引き渡せると定められている。
バンクマンフリードは、13日にバハマの裁判所に出廷し、米国への身柄の移送に対抗する構えを見せた。それと同時に、FTX の新CEOのジョン・レイは、下院の金融サービス委員会で証言し、FTXの破綻が「顧客の資産を預かる企業に必要な管理体制が欠如し、経験が浅く無知な少数のメンバーに権限が集中したことに起因していると思われる」と主張した。
バンクマンフリードも、オンラインで委員会に出席する予定だったが、その数時間前に逮捕された。フォーブスは彼の証言書を入手し公開したが、その中で彼は、レイを含む多くの関係者が、FTX USの顧客の資金を取り戻す試みから自分を締め出したと主張し、彼らを非難していた。