ビジネス

2022.12.13 20:00

アップルは日本に5年で13.8兆円投資、ティム・クックCEOらが日本訪問中

ティム・クックCEOはソニーセミコンダクター九州・熊本テクノロジーセンターを視察。ソニーの吉田憲一郎CEOも同席

Apple(アップル)のティム・クックCEO(最高経営責任者)が3年ぶりに来日している。12月12日、「熊本城の復元作業について学んだ」と熊本城前で大西一史現熊本市長と並んだ写真をTwitterに投稿した。熊本城は6年前の地震被害の影響で、現在も復旧作業中だ。



アップルはこの5年間で、同社が1000社近い日本のサプライヤーネットワークに1000億ドル(約13兆8000億円)以上を投資してきたと発表した。2019年以降、アップルは日本のサプライヤーへの支出を30パーセント以上も増やし、その数は1000社近くにのぼり日本で合計100万以上の雇用を支えているという。

ソニーは、その中でも最大のサプライヤーの1社だ。同社は2011年からiPhone用のカメラセンサーを製造しており、最新機種iPhone 14 Proに搭載されている48MPメインカメラに採用された「クアッドピクセルセンサー」の製造を担っている。

ティム・クックCEOはソニーセミコンダクタソリューションズを訪問。2030年に向け、直接排出と電力関連の排出を含むアップル関連の製造を完全に脱炭素化することを確認したという。これによりソニーは、近年アップルが推進しているグローバルサプライチェーンの脱炭素化に賛同する最初の日本企業となった。



また、日本のサプライヤーとして現在販売中のApple Watchのバンドの一部を製造している企業である福井県の井上リボン工業も紹介。同社は厚生労働省認可の医療ガウン袖口に採用された製品や、シューズの生地に採用された技術で特許を持つなど、業界内での評価も高いメーカーで、アップルは「155人の従業員が革新的な細幅織物技術を利用して製造している」と、日本ならではの技術を高く評価している。

他にも製品ライン全体の保護コーティングに使用するハイエンド機器の設計、開発、製造を行なう金型メーカーである横浜市のシンクロンとの緊密な連携も紹介している。

現在、来日しているのはティム・クックCEOだけではない。Apple ワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるグレッグ・ジョズウィアック氏は、熊本県立大学を訪問し「コーディングは、新しいチャンスの扉を開くものです。同大学の若い開発者たちがアップルのテクノロジーを使って、地域社会に貢献し、支援するアプリケーションを開発しているのを見ると、これから多くの良いことが起こるように思います」とツイートしている。



アップルは日本のGIGAスクールの取り組みが、将来のクリエイター創出・日本のリーダーの育成の手助けになると確信しているようだ。現在、数多くのGIGAスクール用端末が、国内の小・中学校に配布されているが、特に熊本市では早期から、子どものためのICT教育に力を入れてきた。

ティム・クックCEOも、GIGAスクール教育としてiPadが導入されている熊本市の五福小学校を訪問。小さなクリエイターたちが、『モチモチの木』を動画で表現している様子を視察した。



日本のApp Storeは、今や世界第3位の市場規模となっており国内で約100万人の雇用を支えている。開発者たちやサービス提供者がアプリを通じて得た利益は、2019年から倍増して500億ドル(約6兆9000億円)以上となった。

さらに日本にはエンジニアリング、ハードウェアデザイン、販売など数千人のApple社員がいる。直営店も現在10店舗が存在している。

今回の来日ではティム・クックCEOが、Apple銀座を訪問し、販売スタッフと記念撮影を行った。



アップル役員の日本視察は、さらなる「未来の雇用」につながるようだ。

編集=安井克至

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