中国とインドのGDPが米国を突破へ、ゴールドマンが長期予測

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ゴールドマン・サックスのエコノミストは、世界経済に関する広範な見通しの中で、米国経済が21世紀が進むにつれて衰退すると予想している。同社のKevin DalyとTadas Gedminasが率いる調査チームは12月6日、中国の国内総生産(GDP)が2035年頃に米国を上回り、2075年頃にはインドのGDPが米国を僅差で上回ると予測した。

世界銀行のデータによると、2021年時点の米国のGDPは圧倒的世界1位の23兆ドル(約3000兆円)で、中国は18兆ドルで2位、インドは3兆ドルで6位につけている。

ゴールドマンは、伝統的な経済大国の間でさらなる激変が起こると予測している。2075年にはインドネシアとナイジェリアが5大経済大国に浮上し、日本は3位から12位に、イギリスは6位から10位に、ドイツは4位から9位に転落する見通しという。

同社によると、経済力が低下すると予測される国には人口増加の可能性が低いという共通点があり、世界的な人口増加の鈍化によって2030年以降は、各国のGDPの増加率は徐々に減少する見通しだ。

さらに、気候変動に伴う莫大なコスト増やスローバライゼーション(slowbalization)と呼ばれる貿易制限の増加が世界経済にダメージを与える可能性があり、経済成長を確保するためには、国家間の協力関係を強化する必要があるとゴールドマンは指摘した。

米国は、1900年代半ばにGDPの指標が普及して以来、世界最大の経済大国であり続けてきた。しかし、中国経済は、ここ数十年ではるかに大きなペースで成長しており、2000年には米国のわずか12%だったGDPが、昨年は77%まで成長した。

国連によると、世界人口は11月に80億人に達したが、裕福な国々では人口増加率が著しく鈍化しているという。米国の2021年の人口増加率は、パンデミック関連の死亡の増加に出生率の鈍化が重なり、過去最低の0.1%に減少した。

ほとんどの経済学者は、中国が米国を抜いて世界一の経済大国になると予測しているが、ここ最近は、厳しいパンデミック対策と高齢化による成長の減速が指摘されている。しかし、ゴールドマンによると、米国の2024年から2029年かけてのGDP成長率予測が1.9%増であるのに対し、中国は4%増と、下方修正してもなお米国を上回っている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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