梨花、49歳。新ブランドで「育毛剤のイメージを変える」

モデル 梨花


ターゲットという言葉こそ使わないが、意識している層がある。梨花が「あるゾーンの子たちと一緒に歩いてきている」と語る、長年のファンたちだ。そこにむけて投げかけることを楽しむと同時に、使命のようにも感じている。

それは、「読者が“モデル梨花”を生んでくれた」という原点があるからだ。「JJ」や「CanCam」など赤文字系のモデルだった頃、梨花は編集部よりも読者が推す存在だった。自分をプッシュしてくれるのは読者たち。だから、読者が何を知りたいか、どうしたら喜んでくれるかを常に考え、私服やバッグの中身公開などの企画に勤しんだ。

“求められること”に応え続けた後、新たにカバーガールに起用された「sweet」では一転、自分の好きなことを表現した。同誌の発行部数を月間100万部にまで押し上げた“大人カワイイ”という新ジャンルだ。

「今でこそダイバーシティと言うけれど、当時は大人になる=コンサバティブになることがエチケットのような社会。でも、『そうじゃなくてもいい』という提案についてきてくれた子たちが大勢いた。その感覚を今でも覚えている」

それから結婚、出産などでライフステージが変わり、好みのスタイルも変わるなかで「離れていく人たちもいた」とは言うが、現在のインスタグラムのフォロワーは160万人超。10月、AKN/Rの立ち上げにあたり新たなアカウントを作ると、わずか数日で数万人がフォローした。

「30年、常に読者の反応を見て、これは間違ってなかった、とか、今はみんなにとって違うんだな、とかを感じてきた。それを繰り返してきて思うのは、女の子はときに、言ってもらいたいタイミングがあるということ。今回も、『どうする?』じゃなくて『こうだよ』という答えを待っている気がして、ここからのステージへの思いを届けようと決めました」

とにかく、イメージ


AKN/Rでは、育毛剤を軸に、シャンプー、コンディショナー、ブラシ、マッサージブラシがラインナップする。それらが醸し出す雰囲気に、育毛剤と聞いて思い浮かぶような影がない。まるで、梨花の生活から切り出したような佇まい。これこそが、一番力を入れた部分でもある。

梨花が手がけるAKN/Rの育毛剤やシャンプー

「育毛剤という“隠す”プロダクトを、出しておいてもいいと思えるものにしたい。そのネガティブな感じをいったんクリアにしたい。みんなにハッピーな気持ちで使ってほしくて、ビジュアル、ボトル、配送の仕方から発表会まで、とにかくイメージにこだわりました」

旅行など持ち運ぶときのためのポーチまでデザインしているところにも、女子心を理解した梨花のセンスが表れている。一方、中身もできうる限りを追求した。
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編集=鈴木奈央

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