「キラキラしたものより、課題があるところをやりたいと思った。育毛剤のネガティブなイメージを変えたくて。捉え方や発信の仕方で素敵なものにすることができるし、そこにメッセージをのせられる」
そう丁寧に語る梨花は、来春に50歳を迎える。20歳でモデルを始め、表紙を飾る“カバーガール”にこだわり続けて30年。その間には、バラエティ番組に出たり、ブランドビジネスを手掛けたり、出産して、ハワイに拠点を移したりもした。
コロナ禍もあってこれまで以上に自分と向き合い、過去を振り返り、未来のことを考えた。そうして生まれたのが、新ブランド「AKN/R(アクニー)」だ。
表面的じゃなくて、本質的なこと
AKN/Rの構想が始まったのはおよそ3年前。2012年にアパレル会社と立ち上げ、一時は年間20億円以上を売り上げるまでに成功したライフスタイルショップ「メゾン ド リーファー(MAISON DE REEFUR)」を終了し、一区切りついてからだった。
毎月のモデルの仕事はありながらも、ハワイで母親業に専念した時間。コロナも重なり、よりスローになった暮らしのなかで、この先の自分の生き方を考えた。
「これからの時代、何が正しくて何が間違っているか、その見極めがますます難しくなっていく。だからこそ、自分は何をいいと思うのか、何を信じていくのかを自分でわかっている方が楽というか、そこに責任を持って動いていきたいと思っている」
言い換えれば、情報に踊らされることなく判断していくための自分軸。AKN/Rに先立って今夏に上梓した本「わたしのユリイカ」(SDP)では、写真少なめに、そんな思想や言葉を綴った。
「みんなが本で見たいのは、私服や部屋の写真かもしれない。それもいいんだけど、根本にあるマインドが変わると、見えてくるものすべてが変わる可能性もある。例えば、服装もメイクもこれでいいんだっけ、とか」
プロダクトにも、「そこをもう一度見つめてみない?」というメッセージを込めた。育毛剤について、年齢について、あるいは、固定概念や本質について、捉え方を問うものでもある。