経済・社会

2022.12.14 08:00

英スナク政権の矛盾 フラッキング禁止も炭鉱開発は承認

スナク首相 / Getty Images

英国の化石燃料政策は、まったくもって一貫性がない。リシ・スナク首相は先日、フラッキング(水圧破砕法)を再び禁止する方針を打ち出したばかりだが、最近になって米国産天然ガスの輸入増加で同国と合意。今後1年間で約1億4000万立方メートルの天然ガスが米国から英国に輸出される見通しだ。

これにより、米国産天然ガスの輸入量は約2億8000万立方メートルとなり、そのうち2億立方フィートはフラッキングによって採掘されたものとなる。

つまり、たとえ英政府が安全でないとみなす方法であっても、自国がそれを行わなければ、同様の方法で採掘されたガスを他国から輸入して消費するのは問題ないということだ。

スナク政権はさらに先週、新たな炭鉱の開発を30年ぶりに承認した。環境に対する懸念を理由にフラッキングを禁止しておきながら、炭鉱開発を再開するというのは、どういうことだろう。

石炭は非常に危険なエネルギー源であり、特に子どもや炭鉱作業員にとって有害だ。石炭には、神経障害や行動障害を引き起こす水銀が相当量含まれる。

スナク政権は炭鉱開発を承認した理由の一つとして、経済的に困窮する地域の雇用創出につながると説明した。ただ、こうした雇用はおそらくそう長くは続かないだろう。欧米諸国の多くは、石炭燃料の使用を比較的早い時期に禁止すると宣言している。

一方で、フラッキングにより採掘される天然ガスは、石炭と比べるとよりクリーンなエネルギー源であり、最先端の分野での雇用も生む。フラッキングに関わる雇用は、炭鉱よりもずっと長期にわたり続く可能性が高い。

スナク首相には、この一貫性のない政策をどう説明するのか尋ねてみたいものだ。

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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