米国で犬インフルエンザが流行、ペットの親たちが取るべき対策は?

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米国ではこの冬、インフルエンザの感染者が急増している。新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、感染対策を強化してきたことで、過去2年の秋冬にはインフルエンザの流行も同時に抑えられていたことが、現在の感染拡大の要因とされている。

そうしたなか、流行は人間の間にとどまらず、犬の間にも広がり始めたようだ。テキサスやカリフォルニアの両州をはじめ、全米各地の獣医たちが、犬インフルエンザ(CIV)の感染拡大を報告している。

現在流行しているCIVの「H3N2型」は、犬の間では非常に感染力が強いとされるが、人間がCIVに感染して発症する可能性は、極めて低いと考えられる。H3N2型は、以前は鳥の間で感染を広げるものだった。だが、時間の経過とともに、犬にも感染する能力を獲得した。それでもいまのところ、このウイルスが人間に感染するほどの変異を起こしたという証拠はない。

一方、CIVに感染する犬がいま急増している原因は、主に人間にある。過去2年間と比べ、今年より多く旅行していたとみられているのは、ペットの犬の飼い主たちだ。また。通勤を再開したことで、ペットを一時預かり施設やホテルに預ける人も増えている。

感染経路はヒトと同じ


ヒトの間で流行するインフルエンザ・ウイルスとよく似たCIVは、感染した犬から別の犬にうつる。感染した犬が咳をしたり吠えたりすることによって、ウイルスを含んだ飛沫が空気中にまき散らされるほか、犬同士の直接的な接触や、CIVで汚染されたモノの表面を介して、感染が広がる。

一時預かり施設にたった1匹でも感染した犬がいれば、感染はあっという間にその他の多数の犬の間に広がる可能性がある。CIVはヒトのインフルエンザほど一般的ではなく、予防接種を受けていない犬が多いこともその一因だ。

そして、犬もヒトと同じように、感染しても症状が出ないことがあり、さらにその場合でも、ほかの犬を感染させる力はある。米国獣医師会(AVMA)によると、感染した犬の約20%には何の症状も現れないと考えられているが、正確な数値は明らかにされていない。
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編集=木内涼子

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