ビジネス

2022.12.13

「バイナンスに騙された」、FTXのバンクマンフリードが主張

号通貨取引所FTXの創業者で元CEOのサム・バンクマンフリード(Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

フォーブスのデジタルアセット部門のスティーブン・エーリックは12月12日、暗号通貨取引所FTXの創業者で元CEOのサム・バンクマンフリードに独占インタビューを行った。

バンクマンフリードは、FTXの破綻が同社の競合のバイナンスの創業者の“CZ”ことジャオ・チャンポンに仕組まれたもので、その戦略がCZの予想以上にうまくいった可能性があると述べていた(バハマ警察は、このインタビューの直後に、米国からの通知を受け、バンクマンフリードを逮捕した)。

「私の推測では、彼(CZ)は私をうまく利用したのだと思う」と、彼は語った。「彼はおそらく、彼自身が考えていたよりもうまくやったと思う。彼は、自分の企みがこれほどのダメージを私に与えるとは思っていなかったと思う」とバンクマンフリードは話した。

バイナンスのジャオは、11月6日に「“最近明らかになった事実”を理由に、FTXが発行したトークンを清算する」とツイッターに投稿し、FTXの財務の健全性に関する市場の懸念を引き起こした。そして、FTXに救済を申し出たが、3日後にはそのオファーを撤回した。

バンクマンフリードによると、CZは買収価格を含む取引の条件を「驚くほど気にしていなかった」とのことで、今になって考えると、このオファーがまっとうなものだったと思えないという。

FTXは11月11日に破産を申請したが、その直後から複数の救済のオファーが舞い込んだという。バンクマンフリードによると、それらのオファーの大半は、「新株に転換可能な融資」という形の投資家からの提案だったという。

2008年の金融危機の際にウォーレン・バフェットは、ゴールドマン・サックスに50億ドルを出資したが、このときに発行された優先株は10%の利回りが約束されており、さらにワラント(発行会社の株式をあらかじめ定められた価格で購入できる権利)や、ゴールドマンの都合で優先株を買い戻したい場合は、バフェットが支払った価格より10%高い価格で買い取るという条件がついていた。

バンクマンフリードへの提案も、貸し手の側に非常に有利な内容で、その多くは彼を外部の取締役の監視下に置きつつ、会社に残すものだったという。彼は、自身が会社のリスクマネジメントに無関心だったことが、FTXの破綻につながったと述べていた。

辞任に「追い込まれた」


FTXの過半数を保有していたバンクマンフリードは、「結束の固い弁護士や法律事務所のグループ」から、辞任に追い込まれたと主張した。彼は、破産申請に同意したことをすぐに後悔したと語り、FTXの米国子会社のFTX USには支払能力があり、破産申請に含めるべきではなかったというこれまでの主張を繰り返した。

バンクマンフリードは、別の複数のインタビューでFTXの顧客の資金が適切に分別して管理されておらず、そのために資金の引き出しリクエストが殺到した際に、危機に陥ったことを認めていた。

FTXが受けたプレッシャーの多くは、姉妹会社の暗号通貨ヘッジファンドのアラメダリサーチからもたらされたと彼は述べ、ヘッジの構築が不適切だったため、暗号通貨市場の急落による打撃を受けたと話した。バンクマンフリードはさらに、アラメダを標的とした「特異な市場」があったとも述べている。

自分がどのような人物として人々の記憶に残ることになると思うかと尋ねると、彼は「今回の事件との関わりを自分のレガシーにしたくない。何もしなければ、そうなってしまうのではないかと心配している」と語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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