「音のメタバース」で観光地やエンタメを収益化、ソニーLocatoneの実績

ソニーが提案するSound ARのメタバースが体験できるモバイルアプリ「ロケトーン」。エンターテインメントや情報コンテンツなど現実世界に張り巡らせた音によるイベントを体験できるツールだ

メタバース(デジタル仮想空間)は2023年以降も本格的なブレイクが期待される話題の1つだ。ソニーのパーソナルエンタテインメント事業部では、実空間に「音」によるメタバースを配置して、さまざまなエンターテインメントやビジネスを創出する「Sound AR」にも力を入れている。その中核を担うモバイルアプリ「Locatone(ロケトーン)」では何ができるのか、ソニーの近藤博仁氏と八木泉氏に聞いた。

「地球をまるごとテーマパークに変える」


ソニーが提案するSound ARとはスマホで楽しむ「聴覚」によるメタバース体験だ。モバイルアプリのロケトーンはユーザーと音の仮想世界をつなぐインターフェースとして機能する。アプリはAndroidとiOSに対応する。

近藤氏は、Sound ARのコンセプトが「地球をまるごとテーマパークに変えること」であると説く。ユーザーはデジタルデバイスを使って、現実世界の平面マップに配置された音によるエンターテインメントを楽しんだり、さまざまな情報が得られる。

現在、ロケトーンに公開されている多くのコンテンツは数十分単位のツアー形式になっている。イヤホンなどを身に着けたユーザーは地図を頼りに街を歩き、音声によるナレーションを聞きながら次々に発生するイベントを通じて仮想世界の中に深く入り込める。

通常、視覚によるAR体験にはVR/ARヘッドセットに代表される特別なデバイスを用いるが、Sound ARの場合はスタンダードなスマホとヘッドホン・イヤホンの組み合わせでよいことから、間口が広いことも特長だ。

ナレーションやBGMなど、ロケトーンのコンテンツに含まれるサウンドは、ソニー独自の360立体音響技術により、臨場感のある音体験にすることができる。Sound ARの体験はあらゆるイヤホン・ヘッドホン、またはスマホの内蔵スピーカーでも楽しめるが、ソニーの完全ワイヤレス型ヘッドホン「LinkBuds」シリーズを組み合わせると、顔の向きを変えても音が固定された方向から聞こえてきたり、体験にリアリティが増す。ソニーのハードウェアとソフトウェアの連携が活かせる好例だ。


ソニーのLinkBudsシリーズのイヤホンを組み合わせると、コンテンツに音の動きが連動するヘッドトラッキング機能も利用できる
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編集=安井克至

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