サメのポジティブな動画で「恐ろしい」イメージに変化、人は寛容になる

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研究では、情報の見せ方がその情報の処理認識方法やその結果生じる行動に影響を与えることを示唆すという「フレーミング理論」が採用された。研究チームは、今回の実験に必要な動画を選択した後、参加者に2種類の動画(サメを肯定的に表現した動画と否定的に表現した動画)のいずれかをランダムに視聴してもらった。「サメを科学的な視点で描写したり、攻撃的でないサメの行動を映した動画は肯定的にとらえられました。一方、人間に対して暴力的な行動をとるサメを映した動画は否定的にとられました」とチームは語っている。

合計335人(女性48.3%、男性51.7%、平均年齢32歳、中央値25歳)が、実験前と実験後のアンケートに答えている。どちらの調査でも、参加者のサメに対する寛容性が「態度」「受容性」「意図する行動」の3つの具体的な指標に分類された。そして、その結果を確認したチームは、その数字が示す内容に驚かされた。「それぞれの実験動画が、フレーミングに応じてサメへの我々の寛容性に影響を与えました。肯定的な動画は寛容性にポジティブな変化をもたらし(サメに対する好意的な態度は70%増、サメの受容は130%増、サメ保護目的への行動は46%増)、否定的な動画だとネガティブな変化をもたらしました(サメに対する否定的な態度は25%増、サメの受容は18%減、サメ保護目的の行動は3%減)」と研究者らは報告している。

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この結果は、研究者らの予想外だった。「サメの肯定的な動画が、否定的な動画に比べてどれだけインパクトがあったかを考えると、私たちの結果は驚くべきものです。この発見は、ソーシャルメディアにおけるサメのポジティブな表現が、サメという種のネガティブな表現に対抗できる可能性を浮き彫りにしたと考えており、特にワクワクするものです」と語る。

調査結果は、ソーシャルメディア上のサメの肯定的な動画は、サメに対する人間の寛容さを促進するのに役立ち、否定的な動画よりもインパクトがあることを示唆している。「これは最終的に、YouTubeやその他のソーシャルメディアが、サメにまつわる物語を再構築するための、安価で簡単かつ効果的な方法となる可能性があります」と研究者らは説明する。「しかし、そのためには多くの視聴者を惹きつけるポジティブなコンテンツを作成する必要があります。ネット上や一般的なメディアでサメを否定的に表現することが多い中、これは特に重要なことです」と語る。

YouTubeは、一部のソーシャルメディアユーザーにサメへの寛容さを醸成する上で重要な役割を果たすことができるようだ。しかし、著者らはInstagram(インスタグラム)の「リール」のような短い動画の重要性が高まっていることを認識し、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)、Instagram、その他のソーシャルメディアにおけるサメに関するコミュニケーションについて、今後の調査を奨励している。

forbes.com 原文

翻訳=Akihito Mizukoshi

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