Gensler Research Institute(ゲンスラー・リサーチ・インスティチュート)が最近行った2000人の労働者を対象とした調査によれば、まだ多くの職場がハイブリッドワークやリモートワークという新しい世界の準備できていないことが明らかになった。調査では「従業員が最も長い時間(週の34%を1人で過ごす)を費やして重要なアクティビティを行う職場は、現在その目的に適していないようだ」という見解が示されている。報告書は「騒音、注意を逸らすもの、中断を最小限に抑える適切な物理的職場環境を提供することは、人々が仕事に集中し、最高の状態で働き続けるために重要なことだ」と続けている。
また、Genslerのデータでは、クワイエットゾーン(静音ゾーン)、フォーカスルーム(集中部屋)、レストスペース(休憩場所)などの個人向けの静かなワークスペースと、 イノベーションハブ(交流場所)、メーカースペース(工作スペース)、専用チームルームといったクリエイティブなグループワーク用のスペースの存在が、スペース利用の有効性と体験スコアにプラスの影響を与えることが明らかにされている。
このレポートの著者であるジャネット・ポーグ・マクローリンとアニタ・グラボウスカは「企業が古いクラスBやCの建物から逃げて、すばらしい場所にある質の高いクラスAのオフィスに移転しているのを目にしています」と指摘する。「オフィスを、義務ではなく行きたい目的地のように感じられるようにするために、ビル内や周辺にホスピタリティのある設備を求める声が高まっています」
そのために重要なことは、リモートワークの機会と、新しい方向へのイノベーションを推進するセレンディピティ(偶然の発見)の必要性とのバランスをとることだ。未来に目を向け、オフィスビルの設計を見直す必要があると認識した先進的な企業もある。たとえば、PUMA North America(プーマ・ノース・アメリカ)は、より柔軟な働き方を念頭に置いて、マサチューセッツ州ソマービルに新本社を開設した。