左派から右派へ、イーロン・マスクの政治思想20年の歴史

イーロン・マスク(Getty Images)

かつては民主党を支持したイーロン・マスクは、近年は右派寄りの政治観を示すことが多い。彼は先日、フロリダ州のデサンティス知事(共和党)が大統領選に立候補したなら「支持する」と発言した。この記事では、マスクのこれまでの政治的な発言を振り返ってみたい。

2003年
テスラの会長に就任したこの年、マスクは初めて政治献金を行った。彼は、ジョージ・W・ブッシュ元大統領の再選キャンペーンに2000ドルを献金したが、その翌年の2004年には民主党の大統領候補のジョン・ケリーの選挙キャンペーンにも同額を献金していた。

2007年
マスクは、2月に米共和党全国委員会に2万5000ドルを寄付したが、7月には当時の大統領候補のバラク・オバマに2300ドルを寄付した。また、2008年2月には同じく民主党候補のヒラリー・クリントンの選挙キャンペーンに4600ドルを寄付した。

2011年
この年、マスクは、再選を目指すオバマの「ビクトリー・ファンド」に3万5800ドルを寄付し、民主党全国委員会にも3万800ドルを寄付した。

2013年
マスクは、マーク・ザッカーバーグが立ち上げた移民保護団体「Fwd.us」から身を引いた。彼は、Fwd.usが、石油パイプライン「キーストーンXL」を後押しする議員らをサポートするテレビ広告を流したことを受け、この決定を行ったと述べた。マスクは、テック系メディアAllThingsDの取材に、「移民制度改革は支持するが、他の重要な問題を犠牲にして行うべきでない」と述べた。

2015年
マスクは、大統領選でヒラリー・クリントン陣営に5000ドルを寄付し、2016年にはクリントン支持を表明した。彼は、対立候補だったドナルド・トランプについて、「米国の評価を高めるような人格を持っていない」とCNBCに語った。

2017年
この年、マスクは共和党に多額の献金を行った。3月にはケビン・マッカーシー議員(カリフォルニア州選出)のビクトリー・ファンドに5万ドルを、米共和党全国委員会に3万9600ドルを献金した。

一方でマスクは、当時のトランプ大統領が気候変動対策の国際的枠組みであるパリ協定から離脱すると発表したことを受け、6月にトランプ政権の諮問委員を辞任した。マスクは、同年初めにイスラム教徒が多数を占める複数の国に対する入国禁止令を巡って政権を批判していた。

2020年
この年の大統領選挙で、マスクはバイデンに投票したと述べたが、大統領選挙キャンペーンのどの陣営にも献金をしていない。彼は、民主党予備選挙に立候補したアンドリュー・ヤンの支持を表明していた。

2021年
マスクは、この年に共和党のみに献金を行っており、共和党全国委員会と共和党のオンライン献金プラットフォーム「WinRed」に500ドル未満を献金した。

2022年7月12日
トランプとマスクは激しい言葉の応酬を繰り広げた。マスクはその当時、ツイッターの買収を撤回しようとしていたが、トランプはツイッターに「価値がない」と述べ、自身が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」でマスクが運営する企業を揶揄した。一方、マスクは、トランプが「表舞台から身を引くべきだ」とツイートした。
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編集=上田裕資

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