サプライズとセンスが満喫できるエトロのコート

ウール、アルパカ、ナイロンといった素材がミックスされたネップツイードを使ったミディアム丈のコート。表面におうとつがあり、メランジェ調の表情をもつ素材がエトロらしい。黒無地をベースにした裏地には、胸ポケット部分からウエストにかけて蛍光オレンジの生地がボーダー状にブロックで配置されている。コート¥363000、ショルダーバッグ¥86900(ともにエトロ/エトロ ジャパン)

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は12月号(10月25日発売)より、「エトロ」のミディアム丈のコートをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):前回このブランドを取り上げたときにも話しましたが、私にとってのエトロはミラノのモンテナポレオーネ通りにある本店がすべてなんですよ。

小暮昌弘(以下、小暮):一緒にイタリアに行ったときに見たエトロの本店ですね。

森岡:そうです。12月のシチリア島タオルミナで降り出した雪の寒さに震えながら春夏ものを撮影しましたね(笑)。

小暮:確か、帰りにミラノに寄り、本店を見たんですよね。いまも同じままかはわかりませんが、入り口を入ると、2階に上がるらせん風の階段があり、店がペイズリー柄の壁で覆われていました。

森岡:何か、博物館のようで、これぞイタリアという感じでした。Forbes JAPANの読者には一度あの本店を見てほしいですね。あの本店にエトロの世界観が集約されていると思えるくらい圧倒されました。

小暮:前回も触れましたが、そもそもエトロはテキスタイルメーカーとしてジンモ・エトロが創業したブランドで、ペイズリーはエトロのアイコン。そのルーツが満喫できる本店だったと私も記憶しています。

森岡:今回紹介するのは、創業者ジンモの次男であるキーン・エトロがデザインした素敵なミディアム丈のコートです。

小暮:先日、次のコレクションから、新しいクリエイティブ・ディレクターにイタリア人のマルコ・デ・ヴィンチェンツォが就任すると発表がありました。これまで創業ファミリーが手がけていたウィメンズ、メンズ、ホーム、すべてのコレクションを彼が監修するそうですよ。

森岡:ということはこのコートはキーンの最後の秋冬シーズンのコートということですね。小暮:イタリアや日本にはキーンのファンもたくさんいるので、最後の秋冬コレクションというだけでも欲しがる人も多いのでは。

森岡:彼のコレクションは意表をつくものがテーマになることも多く、デザインに“面白さ”があります。いつも“サプライズ”があって楽しさいっぱいです。
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photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka | illustration by Bernd Schifferdecker edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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