森岡 弘(以下、森岡):前回このブランドを取り上げたときにも話しましたが、私にとってのエトロはミラノのモンテナポレオーネ通りにある本店がすべてなんですよ。
小暮昌弘(以下、小暮):一緒にイタリアに行ったときに見たエトロの本店ですね。
森岡:そうです。12月のシチリア島タオルミナで降り出した雪の寒さに震えながら春夏ものを撮影しましたね(笑)。
小暮:確か、帰りにミラノに寄り、本店を見たんですよね。いまも同じままかはわかりませんが、入り口を入ると、2階に上がるらせん風の階段があり、店がペイズリー柄の壁で覆われていました。
森岡:何か、博物館のようで、これぞイタリアという感じでした。Forbes JAPANの読者には一度あの本店を見てほしいですね。あの本店にエトロの世界観が集約されていると思えるくらい圧倒されました。
小暮:前回も触れましたが、そもそもエトロはテキスタイルメーカーとしてジンモ・エトロが創業したブランドで、ペイズリーはエトロのアイコン。そのルーツが満喫できる本店だったと私も記憶しています。
森岡:今回紹介するのは、創業者ジンモの次男であるキーン・エトロがデザインした素敵なミディアム丈のコートです。
小暮:先日、次のコレクションから、新しいクリエイティブ・ディレクターにイタリア人のマルコ・デ・ヴィンチェンツォが就任すると発表がありました。これまで創業ファミリーが手がけていたウィメンズ、メンズ、ホーム、すべてのコレクションを彼が監修するそうですよ。
森岡:ということはこのコートはキーンの最後の秋冬シーズンのコートということですね。小暮:イタリアや日本にはキーンのファンもたくさんいるので、最後の秋冬コレクションというだけでも欲しがる人も多いのでは。
森岡:彼のコレクションは意表をつくものがテーマになることも多く、デザインに“面白さ”があります。いつも“サプライズ”があって楽しさいっぱいです。