FRBが12月9日に発表した報告書によると、第3四半期末の米国の家計資産は、第2四半期の約143兆7000ドルから、143兆3000億ドルに落ち込んだ。減少は3四半期連続で、昨年末の150兆1000億ドルから、今年に入り6兆8000億ドルのマイナスになっている。
FRBは、貯蓄や株式などの資産の合計から負債を差し引いて家計資産を割り出しているが、株式市場の急落で、第3四半期に1兆9000億ドルが失われた。一方、住宅価格の上昇によって不動産の価値は約8000億ドル上昇したが、住宅ローンの債務も第3四半期に6.6%という大幅な増加となった。
その結果、家計の負債総額は第3四半期に18兆8000億ドルに達し、クレジットカードの残高と自動車ローンの急増が消費者信用(Consumer Credit)を7%押し上げた。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは6日、持続的なインフレと金利の上昇によって、消費者はパンデミック時に蓄えた余剰貯蓄を切り崩さざるを得ないため、個人消費の強さは衰えるだろうと警告した。ゴールドマン・サックスのデビッド・ソロモンCEOも、6日のブルームバーグの取材に、暗い経済見通しは「これから先、厳しい時代が続く」ことを意味すると語った。2021年に27%近く急騰したS&P500は、2022年の年初から17%下落した。
FRBの利上げは、住宅市場に特にダメージを与えた。全米不動産協会(NAR)が発表した10月の中古住宅販売件数は、9カ月連続で減少して年換算443万戸に減少し、1月の約650万件を大幅に下回った。需要の減退は住宅価格の下落を促し、中古住宅の販売価格の中央値は、6月の最高値の41万3800ドルから、10月には37万9100ドル(約5190万円)に下落した。
(forbes.com 原文)