自社での構築か提携か?小売企業にとっての主な検討事項
RMNを立ち上げる際、小売企業が下すべき重要な決定の1つは、自社でネットワークを構築するか、サードパーティプロバイダーと提携するかという点です。
当社の調査では、リテールメディアを提供している小売企業の80.4%が、自社内での機能に加えて、サードパーティプロバイダーとの提携を行っています(図4参照)。RMNを自社で構築するのに比べ、社外企業との提携は市場投入のスピードを上げ、コストを抑え、メンテナンスをアウトソースし、俊敏性を向上させることができます。
図4. 小売企業によるRMNの構築および管理方法(回答者の割合)
(図内の訳、コメント「現在、5社中4社以上の小売企業が、RMNの構築及び管理を社外企業と提携して行っている」
選択肢、左から「社内構築及び提携」「提携」「社内構築」)
対象:リテールメディア機能を持つ米国系小売企業194社
出典:Coresight Research
自社で機能構築を行う
リテールメディア機能を自社で構築及び管理している小売企業は、5社中1社のみとなっています。このような小売企業は、サードパーティプロバイダーと利益を共有する必要がなく、リテールメディアを完全にコントロールできるため、高い売上利益率を達成することができます。
しかし、複数のチャネルで顧客データを構築及び測定し、ブランドパートナーに価値を提供するために必要なリソース、スキル、ツール、時間を持つ小売企業はほとんどありません。図5では、当社の調査で判明した課題上位を示しています。
図5. リテールメディアの自社構築・管理に関する課題トップ3(回答者の割合)
(図内の訳、左から「44.5%:投資コストが高い」「43.8%:定期的なアップグレード」「38.3%:市場投下までの時間が長い」)
対象:リテールメディアを自社で構築及び管理している米国系小売企業128社
出典:Coresight Research
提携による構築
多くの小売企業は、必要なインフラや専門知識を提供するサードパーティのテクノロジープロバイダーと提携し、立ち上げまでの時間を大幅に短縮しています。
・米国の専門店Michaelsは、リテールメディアテクノロジープロバイダーのCriteoと提携し、2022年2月にリテールメディアプラットフォームを立ち上げました。
ただし、提携にも課題はあります。調査によると、サードパーティのテクノロジープロバイダーとの提携に伴う課題のトップ3は、サードパーティが提供する自由度とカスタマイズオプションが不十分であるという点です(図6参照)。
図6. サードパーティのテクノロジープロバイダーと提携する際の課題トップ3(回答者の割合)
(図内の訳、左から「38.5%:ファーストパーティデータへのアクセス制限」「38.5%:自社に合わせたカスタマイズの難しさと費用の高さ」「34.0%:顧客体験向上の失敗」)
対象:社外企業との提携によりリテールメディア機能を構築・管理している米国の小売企業156社
出典:Coresight Research