Amazonも注目 「リテールメディア」への投資が大幅に拡大か

出典:Grocery TV


リテールメディアの種類


小売企業が消費者へメッセージを届ける方法としては、オンサイト(自社メディア)とオフサイト(社外メディア)の2つがあります。

オンサイト・リテールメディア


アプリやウェブサイトなど、小売企業のネットワーク内に配置されたメッセージであるオンサイトのリテールメディアは、最も一般的で広く採用されているタイプのリテールメディアです。これらのメッセージは主にディスプレイ広告とスポンサー広告で、コンテキストと関連性によって駆動され、デジタル店頭、モバイルアプリ、実店舗で展開されます。広告は、以下のようなAmazonの例に見られるように、ウェブページの上部など、目につきやすい場所に掲載されます。


Amazonの検索結果ページに、広告主であるArm&Hammerがオンサイト・リテールメディア内でバナーとして表示
出典:Amazon.com

図3に示すように、現在リテールメディアを提供している小売企業のほぼ5社に3社が、何らかのオンサイト機能を有しています。

当社の調査データによると、オンサイトのリテールメディアを提供している企業は、オフサイトのリテールメディアを提供している企業よりも、リテールメディアによる年間収益の伸びが高い傾向にあります。オンサイトのリテールメディアでは、ファーストパーティの顧客データをよりよく管理し、適切な顧客をターゲットにすることができるため、小売企業とブランドの双方にとって有益です。

図3. 小売企業が現在提供しているRMNの種類(左)およびリテールメディアの年間収益成長への影響(右)(回答者の割合)

(図内の訳、コメント「全体の半数以上の小売企業はオンサイト・リテールメディアを提供しており、オフサイト・リテールメディアよりも年間売上が高くなっている」)
対象:リテールメディア機能を持つ米国系小売企業194社
出典:Coresight Research

オンサイト・リテールメディアは、広告主がクローズドな環境で活動できる一方で、小売企業が提供するファーストパーティの顧客データを活用し、購買行動や履歴などの特定の条件に基づいてユーザーをターゲットにできるため、需要が高まっています。リテールメディアは、小売企業にとってはエンゲージメントの促進、ブランドにとってはロイヤリティの向上に貢献します。

P2PIとCriteoが2022年5月に行った調査によると、ブランドや広告主のマーケティング目標を達成するために最も価値のあるリテールメディアチャネルはオンサイトであり、回答者の42%がそのように挙げています。

しかし、オンサイト・リテールメディアでは、顧客データの管理が容易である一方、ネットワークのリーチに大きく依存するため、小規模な小売企業にとってはあまり魅力的ではありません。広告掲載場所が限られており、広告が小売企業のウェブサイトやアプリへの掲載に限られるため、リーチが限定されてしまうためです。
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文=RxR Innovation Initiative

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