Amazonも注目 「リテールメディア」への投資が大幅に拡大か

出典:Grocery TV


図2. リテールメディアによる年間収益成長率(回答者の割合)

(図内の訳、コメント「全体の半数以上の小売企業が、10%以上の年間収益の伸びがリテールメディアに起因するとしている」)
対象:リテールメディアを運用している米国小売企業194社
出典:Coresight Research

これらの収益の持続的な成長を確保するために、小売企業は、自社と取引するブランドに対してROI(投資収益率)を示し、広告費の効果を、透明性を持って測定できるようにする必要があるでしょう。

3. リテールメディア市場の競争激化


成長を続けるリテールメディア市場は、小売企業だけがプレイヤーではありません。消費者と接点のあるその他のビジネス、つまりサードパーディ配送企業やEコマースマーケットプレイスも競合相手となっています。

DoorDash、Instacart などのサードパーティ配送企業は、日々多くの取引を行っており、膨大な顧客データを蓄積しています。こうしたデジタルファーストの企業は、顧客データを収益化することで、食料品配送事業の運営コストの上昇を相殺しようとしています。

・米国の食料品配送会社のInstacartは、2022年にリテールメディア部門Instacart Adsをカナダに拡大する計画を発表しました。同社は、人件費や燃料費などのコスト上昇により収益低下傾向にある中核の食料品配達事業を支えるため、リテールメディアの収益を拡大させていくとしています。

eBay、Etsy、Newegg、WalmartマーケットプレイスなどのEコマースマーケットプレイスも、サードパーティ配送企業と同様に、毎日数百万件の取引を処理しているため、豊富な顧客データを蓄積させています。これらの仲介業者が収集するファーストパーティデータは、広告主やブランドが適切な場所で適切な顧客をターゲットにするために不可欠なものとなっています。

・2021年10月、米国のNeweggは、2019年にMicrosoftに買収されたリテールメディアプラットフォームのPromoteIQと提携し、リテールメディアを構築し、ブランドへNeweggでの製品プロモーションと売上向上の機会提供を開始しました。
・eBayは2022年3月の投資家向け説明会で、2025年までに広告収入を20億ドルに増やす計画であることを発表しました。同社のグローバル広告担当副社長兼ゼネラルマネジャーのAlex Kazim氏は、広告事業に注力することで、購入者をサイト外に誘導する従来のサードパーティ広告への依存度が下がったと述べています。

仲介業者が独自のRMNを立ち上げたことで、小売企業はリテールメディアへの投資を拡大せざるを得ない状況になる可能性があります。そのため、現在のリテールメディア戦略の拡張を再考している小売企業は、市場における競争および様々なリテールメディアの種類と戦略について理解する必要があるでしょう。
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文=RxR Innovation Initiative

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