NFTの購入とは「推し活」である
北野:日本のコンテンツ産業がずっと抱えている課題といわれてきたのが、クリエイター、パブリッシャー、それを輸出する人がそれぞれ違うこと。チームを組んで進めていないから、クリエイターがそこまでもうからなかったり、作品がコピーされちゃったりといった問題があったと思うんです。
いまNFTでもトップのクリエイターはすごく稼げていますが、この新しい技術を使って、マーケット全体のベースが上げられたらいいですよね。
草野:そう思います。2020年代は間違いなくクリエイターエコノミーの時代になります。バーチャル・リアリティやメタバースの世界が来たら、自分でコンセプトをつくれて、手を動かして何かを生み出せるクリエイターの「位(くらい)」が高くなるはずです。
実際、ギャルバースのようにチームを組んで大きく資金調達する方法でなくても、私の周囲でもひとりで作品を出し続けている作家がNFTによって世界中のファンの人とつながり、十分に食べていけるようになった例が出てきているんですよ。
北野:個人でも出展しやすいグローバルなマーケットが新しく生まれたと。
草野:株などとは少し違う「流動性をもったマーケットプレイス」が生まれたのは大きいと思います。やっぱり、稼ごうとして群がるようなものじゃないな、という気持ちが私にはどうしてもありますね。稼ごうと思ってたくさん買って、価値が一気に上がったり下がったり、みたいなことはすごく悲しいことだと思うし。それがNFTがうさんくさいと思われているところでもあるので、もったいない。
最終的には「推し活」なんです。「ギャルバース」は彩華の絵が好きだからこそ、払える額で応援していただいている。なんなら、それをずっと所有しておくだけじゃなく、違うプロジェクトで別のNFTを買いたいなと思ったときは、売っていただくこともできる。そういう緩やかな流動性があるクラウドファンディングなのかな、というのが私の答えです。